京都市左京区広河原
広河原松上げ・・・8月24日
①広河原 松上げお盆のころ、松上げという行事を行う地域があります。
以前、花背や雲ヶ畑の松上げをご紹介しました。
花背 松上げ 『お盆と人形流しとペルセウス座流星群』 雲ヶ畑 松上げ 『あちこちにある惟喬親王の隠棲地』 今回は広河原の松上げの写真をご紹介しま~す。
河原に立てられた無数の竹に松明を取り付けていきます。(地松)①愛宕信仰にちなむ行事松上げは京都市右京区の愛宕神社の信仰にちなむ行事だといわれています。
松上げの行事は主に京都~丹波~若狭にかけて行われていますが、それはこれらの地域が愛宕信仰の厚い地域だったということではないかと思います。
また山間部に多いところから、山火事を防ぐため、火伏の神である愛宕の神に祈願するという目的があったと考えられています。
太鼓と鉦が鳴り響く中、 保存会の方々が手に持った松明をくるくる回し燈籠木をまがけて松明を放り投げます。②愛宕の神は勝軍地蔵と習合されていた。花背の松上げは8月15日ですが、多くの松上げは8月24日に行われます。
雲ヶ畑や広河原の松上げも8月24日です。
8月24日は地蔵盆ですね。
なぜ松上げは地蔵盆に行う地域が多いのでしょうか?
愛宕の神(愛宕権現)は勝軍地蔵と習合して信仰されていました。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/cd/Atago_Gongen.png よりお借りしました。
作者 Hidenobu Tosa, 土佐秀信 (
http://www.lib.ehime-u.ac.jp/SUZUKA/316/index.html) [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で
勝軍地蔵とは、役小角が泰澄と京都の愛宕山に上った際に現れたとされる地蔵菩薩です。
勝軍地蔵は龍樹菩薩・富楼那尊者・毘沙門天・愛染明王を伴って大雷鳴とともに現れたそうですよ。
清水寺の延鎮が勝軍地蔵と勝敵毘沙門天に坂上田村麻呂の戦勝祈願を行ったとも伝えられます。
どうも勝軍地蔵とは戦勝祈願にご利益があると信仰された地蔵のようですね。
愛宕の神はこの勝軍地蔵と習合されているため、地蔵盆に松上げを行うのではないでしょうか。
松明が燈籠木の上に乗って燃え始めました。
③地蔵菩薩は閻魔大王と同体
さらに地蔵菩薩は閻魔大王と同体だと言われます。
閻魔大王は死者を裁く地獄の裁判官です。
一方、地蔵菩薩は地獄で亡者の身代わりとなって地獄の責め苦を受けて下さるみほとけとされます。
なんで閻魔大王と地蔵菩薩が同体?
正反対やん?
閻魔大王は亡者を裁いた分だけ、自らも同じ地獄の責め苦を受けると言われています。
ということは、閻魔大王も地蔵菩薩も、どちらも地獄の責め苦を受けるわけで、なるほど両者は同体なのだと納得です。
鬼来迎の閻魔大王(広済寺)
④松上げはなぜ地蔵盆(8月24日)に行われることが多いの?
8月1日は釜蓋朔日といい、地獄の釜が開く日とされます。
そしてご先祖さまの霊が地獄からこの世に戻ってくると信じられていました。
お盆(旧暦7月1日~15日ごろ、新暦では8月1日~15日ごろ)の時期はペルセウス座流星群(新暦7月20日ごろから8月20日ごろ。8月13日がピーク)が観測される時期と重なっています。
古の人々は星を死んだ人の霊、たくさんの流星がふる様子を死んだ人の霊がこの世に戻ってくると考えてお盆の習慣が生じたのではないかと私は考えています。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ALeonidas_sigloXIX.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/84/Leonidas_sigloXIX.jpg
よりお借りしました。
作者 不明 [Public domain または Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で
上はしし座流星群を描いた絵ですが、写真の松上げの様子に似ていませんか。
ただし、流星が上から下に流れるのに対して、松上げは下から上に放り投げられます。
松上げは流星になって戻ってきたご先祖様の霊を天に戻す行事のように思えるのです。
詳しくはこちらの記事をお読みください。↓
花背 松上げ 『お盆と人形流しとペルセウス座流星群』
さらに地獄の裁判官・閻魔大王と地蔵菩薩は同体とされるので、地蔵菩薩の縁日である8月24日に死んだ人の霊を地獄に戻す行事として松上げは行われているのかも?

最後は保存会の方々が綱で燈籠木をひっぱって倒します。

松上げが終わると観音堂で盆踊りが始まります。
腰をまげて踊るしぐさが色っぽい~。
殿方も行列を作って観音堂にやってきます。
まだまだ盆踊りは続きます。※まとめサイトなどへ無断で転載することはおやめください。
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毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!

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[2017/08/28 14:38]
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