大阪府交野市 星田妙見宮
2016年11月下旬 撮影
星田妙見宮●星の町・交野ヶ原大阪府枚方市・交野市あたりは古には交野ヶ原と呼ばれていました。
在原業平がこんな歌を詠んでいます。
狩りくらし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に われは来にけり
(狩りをしていてすっかり日が暮れてしまった。今夜は織女姫に宿を借りることにしよう。我々は天の川の河原にやってきたのだから。)
在原業平が惟喬親王の狩りのお供をして、渚の院(大阪府枚方市)で詠んだ歌とされます。
京阪御殿山駅の東北に渚の院跡があり、その1kmほど南に天野川という川が流れています。
天野川をはさんで中山観音寺跡と機物(はたもの)神社があり、中山観音寺跡はアルタイル(牽牛星・彦星)、機物神社はベガ(織姫星)を表しているとされます。
中山観音寺跡(牽牛星)と機物神社(織女星) 七夕祭 また天野川をずっと遡っていくと磐船神社があり、ニギハヤヒが降臨した場所だとされていますが
『雲陽誌』には『ニギハヤヒは星の神である』と記されています。
星田・星が丘など星の字のつく地名もおおいですし、星田神社・天田神社・星の森などもあります。
今日、お話ししたいと思っている星田妙見宮もここにあります。
星田妙見宮 絵馬堂
●2組あったアルタイルとベガに模した寺社
妙見山の頂上近くに星田妙見宮の拝殿があり、その奥に織女石が祀られています。
たぶんこの織女石が御神体なのでしょう。本殿はないようです。
星田妙見宮 織女石(たなばたいし)星田妙見宮から天野川を挟んだ対岸には天田神社があり、天田(豊に実る田)の神を祀っているそうです。今回はお参りできなかったのですが。
で、この天田は牽牛が耕す田で、対岸の織女石は織姫であると考えられたということです。
最近の田おこしは耕運機で行うことがほとんどですが、昔は牛に犂(すき)をひかせて行っていたのです。
つまり牽牛とは牛を牽いて田を耕す神というわけです。
飛鳥坐神社 おんだ祭 天狗が牛に犂をひかせて田を耕すシーン中山観音寺&織物神社のほかにもアルタイル(牽牛星/天田神社)とベガ(織女星/星田妙見宮の織女石)があったのですね~。
●隕石が落下した山
816年、ここに隕石が落ちたことで山が吹き飛ばされ、馬蹄形になっていると説明版に記されています。
どうやら816年ここに隕石が落ちたというのは、星田妙見宮に伝わっていることのようですね。
正史に記録があるというわけではなさそうです。
そして落ちたのはペルセウス座流星群の母彗星スイフト・タッフル彗星からの隕石であると記されています。
星田妙見宮 登龍の滝 (わかりづらいですが、写真向かって左の黒っぽく見える縦の筋あたりに水が流れ落ちています。)ちなみに星田妙見宮には隕石が落ちてきたという伝説はあっても、本物の隕石が存在しているわけではなさそうです。
●古の人々は巨石を空から落ちてきた星だと考えた?『雲陽誌』には『星降って石となる』という古語があると記されています。
それが隕石であるかどうかは別にして、古の人は巨岩を空から落ちてきた星だと考えたのではないでしょうか。

上の写真は先ほどもご紹介した磐船神社の御神体・天の磐船です。
磐船神社の御祭神はニギハヤヒという物部氏の祖神で、ニギハヤヒはこの天の磐船を操ってここに天下ったとされています。
この石は隕石ではありませんが、古の人は巨石を空から落ちてきた星であると考え、
「ニギハヤヒがこの天の磐船を操って地上に天下った」という物語を創作したのではないでしょうか。
●物部氏は製鉄鍛冶技術に長けていた?
古事記には天津麻羅(あまつまら)という神が登場します。
先代旧事本紀では次のように記されています。
「倭の鍛師(かなち)等の祖、天津真浦(あまつまうら)」
「物部造等の祖、天津麻良(あまつまら)、阿刀造等の祖、天麻良(あめのまら)」
阿刀氏はニギハヤヒの子のウマシマジノミコトを祖神とする氏族です。
物部氏はニギハヤヒを祖神としているので、同族と考えていいでしょう。
鍛師は鍛冶師のことだと思います。
ここから物部氏は製鉄や鍛冶の技術に長けた氏族だったのではないかと想像されます。
上はたたら吹きの様子を撮影した動画です。(動画お借りしました。動画主さん、ありがとうございます。)
映像が大変美しいです。
この動画を見るとわかるようにたたら製鉄は燃えあがる炎の中で行われます。
このたたら製鉄の様子が、夜空に光る星に喩えられたのではないかという説があります。
そして交野ヶ原のあたりには肩野物部氏が住んでいました。
●妙見大菩薩はたたら製鉄の神だった?
星田妙見宮の御祭神はアメノミナカヌシ・タカミムスビ・カミムスビですがパンフレットによるとこれらの神々は、「仏教では北辰妙見大菩薩、道教では太上神仙鎮宅霊符神という」と書いてあります。
http://www.raifuku.net/special/wolf/details/myoken1.htm↑ こちらに妙見星神の図像が掲載されています。
妙見星神の上に描かれている星を描いてみました。↓
上の三つ星は婁(たたらほし/
おひつじ座β星)下の七つ星は北斗七星だと思います。
二十八宿

ウィキペディア(
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Twenty-eight_mansions.jpg?uselang=ja )よりお借りしました。
たたらというのは古代の製鉄にもちいる鞴(ふいご)のことで、たたら製鉄という言葉もここからきます。

ウィキペディアよりお借りした鞴(たたら)の図です。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bellows_2_(PSF)_generalized.png?uselang=ja作者は
Pearson Scott Foresmanさんです。ありがとうございます。
鞴はこのように三角形の構造になっているので、それに似ているということで「たたらほし」というのでしょう。
頭上にたたらぼしを戴く妙見星神(妙見大菩薩)はたたら製鉄の神なのではないでしょうか?
星田妙見宮 参道
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