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富岡製糸場  サルビア 『磯女はなぜ人の血を吸うのか?』 

群馬県富岡市 富岡製紙場
2016年9月中旬 撮影

富岡製糸場 工場とサルビア 
富岡製糸場 工場 煉瓦の壁、蝶番のデザインがおしゃれだなあ~。

①工女になると生き血を吸われる~!


江戸時代に開国して以来、生糸は日本の主要な輸出品でした。
しかし粗悪品が出回って評価を落としていたため、官営の器械製糸工場が1872年に建設されました。
富岡製糸場です。

1893年、三井家に払い下げられ、1902年に原合名会社、1939年に片倉製糸紡績会社となり、1987年(昭和62年)に操業を停止しました。

富岡製糸場 明治5年 

操業年の「明治5年」を記した石。

1987年ってそんなに昔じゃないですね。
大韓航空機爆破事件が起った年です。u2のアルバム、ヨショア・ツリー(大好き♡)が発売された年でもありました。

1872年2月12日、政府は工女を募集しましたが、「工女になると西洋人に生き血を吸われる」という噂話が広まって人材確保に苦労したようです。

富岡製糸場 玄関 

ペンキのはげ具合がいい味出してる~。

②噂の真相

「西洋人はパンパネラ」って、ちょっと笑えますが、なぜこんな噂話が広まったのでしょうか。

それはどうやら富岡製糸場に招聘されたフランスのブリュナ氏夫妻らが赤ワインを飲んでおり、その赤い色が血のようにみえたためではないかという説があります。

富岡製糸場 工場の窓 

1枚目の写真の、窓の内側はこんな感じ。

富岡製糸場の初代所長・尾高藍香の「藍香翁」には次のように記されています。

彼異人共は、実は魔法使いの悪鬼輩(あくきやから)にして、彼のお触に応じて過ちて年若の工女を彼工場に入れむか、可愛や其女等は忽ち彼等に生血を絞られて、其の生命を断るべしと言うにあり。
然して悪説の出所はと問えば、土人は風説にあらず、現に目撃たりと言う。如何なる物をか見たると問えば、別にもあらず、彼等の飲む血酒!と言う。

意味のわからないところもあるけど、一応、私なりに訳してみました。
間違いがあれば教えてくださーい。

かの異人とも(ブリュナ氏夫妻)は、実は魔法使いの悪鬼であり、言いつけに従ってやむなく年の若い工女を工場で働かせると、工女たちはたちまち彼らに生き血を絞られてその命を絶たれると言われている。
その悪い噂の出どころについて聞いてみると、土地の人は「単なるうわさじゃない。この目で見たんだ」と言う。
「どのようなものを見たのか」と聞くと「彼らが血酒を飲んでいるのを見た」と言う。

富岡製糸場 工場の梁 

↑ 工場の梁。
工場の梁を外から見ると、こうなっていました。↓

富岡製糸場 壁から突き出た工場の梁

③日本のバンパネラ

そういうわけで、今日は日本の吸血鬼の話をしたいと思いまーす。

日本にも吸血鬼はいました。
そのひとつが紫女です。
紫女については以前の記事・国営ひたち海浜公園 ネモフィラ 『吸血鬼 紫女』  に書きました。
今回は磯女についてお話ししますね。

富岡製糸場 自動繰糸機 
機械の美しさに圧倒される!

富岡製糸場 自動繰糸機-概要図 

④磯女

磯女は九州などに伝わる女の妖怪です。

上半身は人間の美女、下半身は幽霊のようにぼやけているとか、蛇身であるなどといわれます。

余談ですが、大阪府守口市の来迎寺には『幽霊の足跡』なるものがあるそうです。
http://www.city.moriguchi.osaka.jp/kakukanoannai/shiminseikatsubu/chiikishinkoka/kankou/raikouji/1477311872007.html
幽霊には足はないと聞いていたんですが、足のある幽霊もいるんですね~。

それはともかく、磯女は全身びしょ濡れで、地面に届くほどの超ロングヘアーだそうです。
で、その長い髪を人に巻き付けて血を吸って、殺してしまうんだそうです。
長い髪の美女にはくれぐれもご注意を!

富岡製糸場 工場 
雨水を防火用水としてためているんですね。


⑤磯女は蟹の妖怪?

磯女は蟹の妖怪だとも言われています。
そういえば、滋賀県の高月観音の里にある正明寺には千手千足観音がありましたが、蟹のようなお姿をされていました。
http://guide.travel.co.jp/article/4886/

蟹をひっくり返してみると、筋肉が折りたたまれるようになっています。
→ http://www.chiba-muse.or.jp/UMIHAKU/kikaku/14marisai/figs/photo17.jpg

千手千足観音はたくさんの脚が並んでいて、縦に筋が入っているように見えますが、これは蟹の腹部の筋肉を表しているのかも?

この千手千足観音と磯女には何か関係があるかもしれませんね。

富岡製糸場 倉庫

倉庫

⑥人の血を吸う蛭

ですが、蟹は血を吸いません。(だよね?)
血を吸う動物といえば蚊、そして蛭が思い出されます。



動画お借りしました。動画主さんありがとうございます。

たくさんの蛭に血を吸われて大変でしたね~。
山登りするときは塩を持っていくといいんですね。勉強になりました!

この男性、血まみれになっているにもかかわらず、痛そうな顔をしていませんね。
なんでも蛭は唾液に麻酔成分があるとかで、血を吸われても痛みを感じないそうです。

また蛭に血を吸われてもそんなに害はないとのことです。

富岡製紙場 宿舎の掃き出し窓 
宿舎。ガラスのデザインがレトロですてきですね~♪

⑦蛭を神格化した神

熊野若王子神社 蛭子神 

熊野若王子神社 蛭子神

記紀神話に登場する蛭子神(ヒルコ・エビス)はイザナギ・イザナミの長子として生まれましたが、3歳になっても立つことができない身体障害児でした。
そのため骨のない蛭のような子、ということで蛭子と名付けられたのでしょう。

富岡製糸場 寄宿舎 
寄宿舎。

⑧蛭子、水死体の神となる

イザナギ・イザナミは「こんな蛭のような子はいらない」と蛭子を葦舟に乗せて流してしまいました。

兵庫県西宮市にある西宮神社に伝わる話では、蛭子は竜宮にたどりつき海神に育てられたが、神の御子であるということで地上に戻されたといいます。

まわりくどいというか、神秘的な表現を用いていますが、要するに、蛭子は海でおぼれて死んだということでしょうね。
そのためでしょうか、水死体のことを「エビス」という地域があります。

蛭子は水死体の神なのです。

⑨磯女は女神版蛭子神だった?

磯女はこの蛭子を女神に転じた妖怪ではないかと思います。
(日本の神は性別にルーズで、聖徳太子が「女に生まれ変わって親鸞の妻になろう」と言ったという話もあります。)

それで浜女は蛭のように人の血を吸うのではないでしょうか?




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[2017/09/08 14:17] 群馬県 | トラックバック(-) | コメント(-)