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一言主神社 秋季大祭 『性別がルーズな日本の神』 

奈良県御所市 一言主神社
秋季大祭・・・9月15日



●一言主神社 秋季大祭
 
一言主神社境内に神様たちが現れました。 

一言主神社 天狗・神職・お多福・翁 
神様たちが境内を練り歩きます。

一言主神社 天狗・神職・翁のお練り 
神職さんが幣を撒き
 
一言主神社 天狗と幣を撒く人 
お多福が鈴を振って参拝者に福を授けてくださいます。

 一言主神社 お多福 
幣を撒く人はお面をつけていないので神様ではないでしょう。
そして境内を練り歩く神様は、天狗、一言主神、お多福とのことです。
ということは、白い髭を生やした翁が一言主神ということですね。

だけど、私はお多福が一言主神じゃないかなあ、と思うのです。
なんでかって?

●容姿を気にする神


役行者は葛木山と金峯山の間に石橋を架けるため、神々に工事をさせたせたという伝説があります。
一言主は自分の顔が醜いのを気にして夜しか働かなかったので、役行者は一言主を縛り付けたというのです。

容姿を気にするあたりが、なんか女性っぽくないですか?

追記1/写真のお多福は男物の衣装を着、烏帽子を被ってていますが、お多福って普通は女ですよね。

一言主神社 天狗・神職・お多福・翁のお練り2

●雄略天皇がナンパしたのは一言主神だった?

また、こんな伝説があります。

雄略天皇が葛城山に登る時、向かいの山の尾根伝いに山に登る人たちがありました。
その一行は天皇の一行とまったく同じいでたちをしていました。
雄略が『この大和の国に私をおいてほかに大君はないのに、今誰が私と同じ様子で行くのか』と問うと、向かいの山の方から、全く同じ返答が返ってきました。
雄略やお供の者が怒って矢を弓につがえると、向こうの人たちも矢をつがえました。
雄略が『そちらの名を名乗れ。そしてそれぞれが自分の名を名乗って矢を放とう。』と言うと、
『私が先に問われた。だから私が先に名乗ろう。私は悪いことも一言、良いことも一言、言い放つ神。葛城の一言主の大神である。』と返事が返ってきました

 

一言主神社では雄略天皇もお祭りしていますよ。

そして雄略天皇は次のような歌を詠んでいます。

籠(こ)もよ み籠持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串持ち この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座(ま)せ われこそは 告(の)らめ 家をも名をも

(ヘイ彼女。いい籠持ってるじゃん。いいヘラ持ってるじゃん。この丘で菜を摘む彼女、家はどこ?名前はなんてーの?
大和の国は僕ちんが治めてるんだよん。僕ちんこそ名乗っちゃうよ。家柄も名前も。/友人による現代語訳です。)

これは先にご紹介した伝説(青文字部分)の、雄略天皇と一言主神の出会いの歌ではないかと私は思うんですね。
つまり、菜を摘む娘は一言主神ではないかということです。

ナンパしてきた雄略天皇に対して、娘はこう答えたのではないでしょうか。

『私が先に問われた。だから私が先に名乗ろう。私は悪いことも一言、良いことも一言、言い放つ神。葛城の一言主の大神である。』

一言主神社 天狗・神職・お多福・翁のお練り

●薬狩り

一言主神は狩りをしていた。一方娘は菜を摘んでいた。二人は違うことをしているので、同一神ではないのではって?

でも狩りと菜摘みは関係があるんですよ。

狩りは鹿狩り、菜摘みは薬草を摘むことではないかと思います。
鹿狩と薬草摘みはどちらも古には旧暦5月5日に行われる行事で、薬狩りと呼ばれていました。

一言主神も娘も薬狩りをしていたということで共通点があり、同一神であると思うのです。

●性別がルーズな日本の神

だいたい日本の神様って性別がルーズなんですよね~。

大神神社の大物主神は記紀神話では男神でセヤダタラヒメやヤマトトトヒモモソヒメのところに夜這いしていたという神話があります。
ところが謡曲・三輪では三輪明神(大神神社の神)は女神として登場します。
京都・亀岡祭の三輪山の御神体も女神でした。

亀岡祭 三輪山 御神体 

亀岡祭 三輪山 御神体


聖徳太子が親鸞の夢の中に表れて「女に生まれ変わってあなたの妻になろう」と言ったという話もあります。

日本の神は状況によって男神として現れたり、女神として現れたりするのかもしれませんね。

●一言主神は雄略天皇の和魂だった?(追記2 )

先ほどご紹介した伝説によると、一言主神は雄略天皇と全く同じいでたちをしていたのでしたね。

お多福は女神とされているのに男物の衣装を着ているのは、雄略天皇と全く同じいでたちをしていたという伝説によるものなのかも?

また、同じいでたちをしているということは、一言主神と雄略天皇は同一神であるということなのではないでしょうか?

神はその現れかたで御霊(神の本質)・和魂(神の和やかな側面)・荒魂(神の荒々しい側面)にわけられ、和魂は女神、荒魂は男神とする説があります。

もう一度3柱の神様を見てみると,天狗・翁・お多福は色違いの同じ着物を身に着けています。
烏帽子も同じです。
翁が御霊、天狗が荒魂、お多福が和魂で、天狗・翁・お多福は同一神なのではないでしょうか?

そして伝説に登場する雄略天皇を神としてあらわした姿が天狗なのかも?



毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!

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[2016/09/13 00:00] 奈良の祭 | トラックバック(-) | コメント(-)