京都府北区小野中ノ町 岩戸落葉神社
撮影 2015年11月8日
見事なイチョウの巨木!黄色い絨毯をしきつめたかのような境内のなんて美しいこと!
さらに岩戸落葉神社という神社名にも「おおーー」とうなってしまいました。
なんでかって?
岩戸落葉神社がある場所にはもともとは落葉社があり、近世になって岩戸社がこの地に遷宮してきて岩戸落葉神社となったそうです。
そのため境内には岩戸社・落葉社のふたつの本殿があります。
この岩戸社と落葉社はどちらも冬至に関係する神社だと思うのです。
岩戸社の御祭神は彌都波能賣神(みづはのめのかみ)、稚日女神(わかひめのかみ)、瀬織津姫神(せおりつひめのかみ)です。
このうちの稚日女神は、スサノオが馬の逆剥ぎを高天原の斎服殿(いみはたどの)に投げ込んだとき、これに驚いて持っていた梭(ひ)で身体を刺して亡くなった女神です。
これにショックを受けた天照大神は天岩戸に隠れてしまいます。
稚日女神という神名は「若く瑞々しい日の女神」という意味で、天照大神は別名を大日女(おおひるめ)というので、稚日女とは天照大神自身、または天照大神の幼名とする説があります。
そして天照大神が天岩戸にこもったという伝説が何を表すのかについて、ふたつの説があります。
①日食をあらわしているという説。
②冬至になって勢いが衰えた太陽をあらわしているという説。
大阪の枚岡神社では12月25日に「お笑い神事」を行ってます。
新しくかけなおした注連縄の前で、神職さん、巫女さん、氏子さん、一般の参拝者も並んで「わっはっは」と笑うという神事です。
天照大神が天岩戸にこもったとき、アメノウズメがストリップダンスをし、
それを見ていた神々が笑いました。
天照大神はその笑い声を聞いて「何を笑っているんだろう」と思い、少し天岩戸をあけたところを引っ張り出され、再び世の中に太陽の光がさすようになったという 日本神話があります。
「お笑い神事」はこれを表したものといわれています。
この神事はもともとは冬至の日におこなっていたそうです。
この神事を見ると、天照大神が天岩戸にこもったという神話は②の冬至になって勢いが衰えた太陽をあらわしているのではないかと思えます。
岩戸落葉神社のイチョウは樹齢はわからないそうですが、巨木なので古くから落葉社の御神木として植えられていたのではないでしょうか。
私はイチョウという名前は『一陽来復』の『一陽(イチヨウ)』からくるのではないかと考えています。
『一陽来復』とは『冬が終わり春が来ること』や『冬至』を意味する言葉です。
『一陽』とは『たったひとつの太陽』という意味でしょうか?
(陽は太陽のことで間違いないと思いますが、一は別の意味かも?)
つまりイチョウとは『太陽の木』という意味だと思うのです。
日本では太陽はなぜか赤で描かれることが多いですが、
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/magnitude_scale.html ←こちらのサイトの図に示されているように、太陽の色は本当は黄色なのです。
イチョウの黄色い葉は太陽の光に見立てられているのだと思うんですね。
この黄色い葉っぱは最初はたくさん木についているのですが、徐々に散っていき、木についた葉の数はどんどん減っていきます。
これは冬に向かって衰えていく太陽のようではないでしょうか。
そして最も太陽の光が衰える冬至のころにはすっかり落葉してしまっているというわけです。
落葉社は源氏物語に登場する朱雀帝の第二皇女「落葉の宮」を御祭神としていますが、この落葉の宮は冬至に向かって衰えていく太陽に喩えられたのではないでしょうか。
小野郷は紅葉の美しい郷でした。