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禅定寺 紅葉 柿 『象に乗った大威徳明王 と アシカの顔の獅子』 

   
京都府綴喜郡宇治田原町 禅定寺
2015年11月下旬 撮影

禅定寺 仁王門

禅定寺 仁王 阿形 

花灯窓に仁王様のお姿が。赤い目をしていましたよ。

禅定寺 仁王 吽形 

①此岸は四角、彼岸は丸


↓ 禅定寺の庭を眺める窓にこんなものが。

禅定寺 窓



『此岸 迷の窓』は□形のフレーム、『彼岸 悟の窓』は○形のフレームになっています。
中国には天円地方といって、天は○、地は□の形をしていると考えられていました。
それをふまえて禅定寺の窓をあらためて見てみると、「なるほど~」と思います。

禅定寺 池

此岸とはこの世、現生のことです。
この世は煩悩にまみれた迷いの世界だといえるでしょう。
そしてこの世は大地の上にあります。
そのため此岸の窓は大地を表す□のフレームになっているのでしょう。

彼岸とはあの世、天国のことです。
あの世は煩悩から解放され世界で、天上にあると考えられています。
そのため、彼岸の窓は天を表す○のフレームになっているのだと思います。

禅定寺 柿

②普賢菩薩の徳を持つ大威徳明王?


禅定寺の仏像もとてもユニークでした。

大威徳明王はふつう、水牛に乗ったお姿をされているのですが 
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Daiitoku_myoo_painting.jpg 


禅定寺の大威徳明王(藤原時代)は象に乗っておられました。

一般的に普賢菩薩は象に乗ったお姿をされています。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Fugen.jpg

禅定寺の大威徳明王は普賢菩薩の徳を持ったみほとけなのかも?

禅定寺 柿2

③大威徳明王は政治に口を出す詮子のイメージ?

吉祥寺 紅葉葵 芙蓉 『吉祥寺は井上内親王を慰霊する寺?』 
↑ こちらの記事にも書いたのですが、賢菩菩薩は女人成仏を説く法華経に登場する菩薩なので女性から厚く信仰されていました。

そこで禅定寺の縁起を見てみると、創建は991年、藤原兼家によって、とあります。
平安時代、このあたりは藤原氏の別荘があった土地なのだそうです。

991年は藤原詮子( せんし/あきこ)が出家した年です。

詮子は第64代円融天皇の女御で、父親は藤原兼家です。
兼家はここ禅定寺を創建した人物でしたね。
詮子は980年に兼家の東三条邸で円融天皇の第一皇子・懐仁親王(のちの一条天皇)をお産みになられました。
ところが990年に関白藤原頼忠の娘・ 遵子( じゅんし/のぶこ)が円融天皇の皇后となってしまいました。
そのため詮子は東三条邸にひきこもり、円融天皇に会おうとしませんでした。

禅定寺 壁画1

庭園には大きな壁画がありました。


その後、986年に詮子の子、・懐仁親王が即位して一条天皇となり、詮子は皇太后となりました。
991年、円融法皇が崩御されると、詮子は出家して、皇太后を辞し、女院となりました。

詮子は一条天皇の母親としておおいに政治に介入したそうです。
また、詮子は弟の道長をかわいがり、兄道隆・道兼が没したのち、執政者に道長を押しました。
そのため、兄一家は没落したと言われています。

禅定寺の象に乗った大威徳明王は詮子のイメージでつくられたものなのかも?

禅定寺 壁画4jpg 

④アシカの顔をした獅子

大威徳明王は阿弥陀または文殊が衆上を導くために敢えて恐ろしげな姿で現れたものであると言われていますが、
禅定寺の大威徳明王の隣には文殊菩薩が安置されていました。

文殊菩薩は一般的には獅子に乗ったお姿をされています。
禅定寺の文殊菩薩が乗っている獅子は大きな目を持っておられ、なんと耳がありませんでした!
体は獅子ですが、お顔は獅子というよりはアシカにそっくりでした。

  禅定寺 壁画2

⑤禅定寺の敷地は八角形だった?


禅定寺の山号は補陀洛山といいますが、補陀洛山とはインドの南方海上にあるとされる八角形の山で、観音が住む浄土とされます。(もちろん想像上の山ですよ)
興福寺の八角円堂の南円堂はこの補陀洛山を模したものとされます。

禅定寺は京都の南の南山城にあり、小高い丘の上にあるため、この補陀洛山に喩えられたのかも。
それでアシカに乗る文殊菩薩像のような海のイメージのものがあるのかもしれませんね。

禅定寺 壁画3




上は禅定寺の航空写真ですが、敷地が五角形か六角形に見える~。
もともとは補陀洛山と同じ八角形だったなんてことないですかね?


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[2018/12/19 17:14] 京都府 | トラックバック(-) | コメント(-)