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向原寺 甘橿坐神社 木漏れ日 二上山夕景 『物部守屋と盟神探湯(くがたち)』 

ゴールデンウィークに善光寺へ行った際 ( 記事はこちら→善光寺 門前町 ライトアップ 『善光寺は物部守屋を慰霊する寺だった?』 )、
善光寺の御本尊は物部御輿が難波の堀江に捨てたものを、本田善光という人が信濃に持ち帰ったという伝承があることを知りました。

物部が仏像を捨てた難波の堀江の所在地については2つの伝承地があります。
ひとつは和光寺(大阪市西区北堀江3-7-27)の阿弥陀池、もうひとつは向原寺(豊浦寺跡/奈良県高市郡明日香村大字豊浦630)近くにある難波池です。

和光寺は参拝したことがあるのですが、向原寺は参拝したことがありませんでした。
飛鳥には何度も行ってるんですが、前を素通りしてた~。

向原寺

 ↑ 向原寺の写真に堺祭の行列に参加されていた旅装束の方の写真を合成。

そこで先日、向原寺に行ってきました。

向源寺 難波池 

向原寺の隣には難波池がありました。
物部尾輿が仏像を捨てた難波の堀江はここだとも言われています。

向源寺 石碑 
難波池のほとりには「奈良善光講」と記された石碑が建てられていました。
講とは『同一の信仰を持つ人々による結社』のことです。
善光寺のみほとけを厚く信仰する人々が「奈良善光講」という結社をつくっており、善光寺にゆかりのある難波池のほとりに石碑を建てたのでしょう。

甘橿坐神社2 
向原寺の裏に甘樫坐神社がありました。

甘橿坐神社 

甘樫坐神社の境内には立石と呼ばれる謎の石があります。
毎年4月第一日曜日に、立石の前で盟神探湯(くがたち)の神事が行われているそうです。
盟神探湯についてはこちらの記事にも書いたように→城南宮 湯立神楽 『古代の裁判・盟神探湯(くがたち)』 
熱湯に手をつけ、火傷をしない者は正しく、火傷をした者は嘘をついていると判じた古代の裁判です。

日本書紀に次のように記されています。

278(応神天皇9)年、兄の失脚を目論んだ甘美内宿禰(うましうちのすくね)が『武内宿禰は天下をねらう野心があり、筑紫を割いて取り三韓を自分に従わせたら天下を取る事が出来る、と言っている。』と、応神天皇に讒言しました。
天皇は二人に盟神探湯をさせて、真偽を測ることにしました。
結果、武内宿禰が勝ち、太刀をとって甘美内宿禰を倒し殺そうとしました。
しかし天皇が間に入って止め、甘美内宿禰は許されました。


武内宿禰は蘇我氏、紀氏、巨勢氏、平群氏、葛城氏、波多氏、淡海氏、許勢氏らの先祖とされています。
盟神探湯に敗れた甘美内宿禰は紀直らの隸民にされたとあって、子孫については記されていません。

私は甘美内宿禰(うましうちのすくね)は物部氏の先祖ではないかと思います。
というのは古事記には次のような記述があるからです。

ニギハヤヒという神が天の磐船を操って河内の生駒山に天下り、大和地方の豪族・ナガスネヒコの妹・トミヤスヒメと結婚しました。
ニギハヤヒとトミヤスヒメの間に産まれたのが、物部氏の祖・ウマシマジノミコトです。


物部氏の祖神・ウマシマジノミコトと甘美内宿禰(うましうちのすくね)は音が似ています。

善光寺 門前町 ライトアップ 『善光寺は物部守屋を慰霊する寺だった?』 
↑ こちらの記事の中で宮元 健次さんが、「善光寺は物部守屋を慰霊するための寺である。」とされていることについて書きました。

587年、排仏派の物部守屋は崇仏派の蘇我馬子や聖徳太子と戦って戦死しました。
このように政治的に不幸な死を迎えた者は死後怨霊となって疫病や天災を引き起こすと考えられていました。
守屋も怨霊になったと恐れられたことでしょう。

善光寺と関係の深い向原寺もまた物部守屋を慰霊する寺だと思われます。
そして位置的に見て、甘樫坐神社は向原寺の鎮守ではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
甘樫坐神社が向原寺の鎮守であるとすれば、甘樫坐神社もまた物部守屋を慰霊する神社だといえるでしょう。

その甘樫坐神社において盟神探湯の神事が行われているというのが興味深いです。

物部守屋の霊の前で盟神探湯の神事を行うのは、甘美内宿禰(守屋の先祖?)が盟神探湯で敗れたことを思い出させることによって、守屋の霊を鎮めるという目的があるのではないでしょうか。

「守屋よ、お前の先祖の甘実内宿禰は盟神探湯で敗れたのだ。観念せよ!」みたいな感じで。

二上山 夕景


この時期、飛鳥から二上山に沈む夕日が見えます。
古の飛鳥人は二上山に没する夕日に守屋が成仏することを祈ったことでしょう。

向原寺・・・奈良県高市郡明日香村大字豊浦630
甘樫坐神社・・・奈良県高市郡明日香村大字豊浦字寺内626


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[2015/05/27 00:00] 奈良県 | トラックバック(-) | コメント(-)