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辰巳大明神 桜 舞妓さん『狸の神を祀っているのになぜ狐の像が置いてあるの?』 


京都市東山区 辰巳大明神

辰巳大明神


①辰巳大明神は平安宮の辰巳を守護する神?

祇園にある辰巳大明神の由緒はよくわかっておらず、御所の辰巳の方角を守護する神社だと考えられています。

干支

辰巳の方角は南東ですね。



上の地図を見ると、辰巳大明神は御所の辰巳というよりは、御所の己の方角に位置しているように思えます。

しかし、もともとの御所・・・平安宮は現在の御所よりも西の二条城あたりにあったとされます。
もしかしたら平安宮の辰巳守護の神社なのかも?

祇園白川

②辰巳守護の神は喜撰法師だったりして?

辰巳といえば、百人一首にもある次の歌を思い出します。

わが庵は 都のたつみ しかぞすむ 世をうぢ山と 人はいふなり/喜撰法師
(私の庵は都の辰巳にあってしっかりと住んでいるのですが、宇治山という名前のとおり、世を「憂し」と思って隠れ住んでいると人々はうわさしている。)


案外、辰巳大明神とは喜撰法師のことだったりして?

祇園 舞妓さん

③喜撰法師は紀仙法師?

喜撰法師は紀仙法師で、紀名虎または紀名虎の息子・紀有常のことではないかとする説があります。

紀名虎の娘の静子は文徳天皇に入内して惟喬親王を産みました。
文徳天皇は惟喬親王を皇太子にしたいと考えて源信に相談していますが、源信は当時の権力者・藤原良房を憚って天皇を諫めたそうです。
そして、藤原良房の娘・明子が生んだ惟仁親王(のちの清和天皇)が皇太子となりました。

平家物語などに、紀名虎と藤原良房がいずれの孫を立太子させるかでもめ、高僧の祈祷合戦や相撲などの勝負を行って、藤原良房が勝利したと記されています。

この話は史実ではありません。
というのは惟仁親王が生まれたのは850年なんですが、紀名虎が亡くなったのは847年で、惟仁親王が生まれたときすでに紀名虎はこの世に存在していなかったからです。

しかし、こういう物語が創作された背景には、藤原氏vs紀氏の確執があったと考えるのは自然なことでしょう。

祇園 舞妓さん3

③稲荷神は紀氏の神?


辰巳大明神の境内には狐さんの像があります。

辰巳大明神 狐
狐さんといえば、稲荷神ですね。境内に狐の像があるということは、稲荷神を祀っていると考えられますが

和歌山県有田市糸我町中番に稲荷神社があり、第27代安閑天皇(西暦531-535)代に創祀されたという伝説があります。
この稲荷神社は最古の稲荷社とも言われています。

和歌山県あたりはかつては紀伊国と呼ばれ、紀氏の本拠地でした。
稲荷神は紀氏の神っぽいです。

祇園 舞妓さん2

④辰巳大明神は狸の神様


しかーし!なんとっ!
辰巳大明神は狸の神様だとされているのです!

辰巳大明神の傍らには巽橋というのがありまして、
狸の橋を渡る人を騙しては、川の中を渡らせるといういたずらをしており、
この狸を祀る祠をたてたところいたずらが収まったという伝説があります。

⑤御霊・荒魂・和魂

神はその現れ方で、御霊(神の本質)・荒魂(神の荒々しい側面)・和魂(神の和やかな側面)の3つに分けられるといわれます。
そして荒魂は男神を、和魂は女神を表すとする説があります。
すると神の本質である御霊とは男女双体ということになると思います。

御霊・・・神の本質・・・・・・・歓喜天・・・・・・・男女双体
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・鬼王ビナヤキャ・・・男神
和魂・・・神の和やかな側面・・・ビナヤキャ女神・・・女神

祇園 舞妓さん4  


⑥辰巳大明神は狸の神と狐の神が和合した神?

大聖歓喜天(聖天)というみほとけがいます。

Icon of Shoten

https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AIcon_of_Shoten.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c7/Icon_of_Shoten.jpg よりお借りしました。
作者 不明 (平安時代の図像集『別尊雑記』(心覚 撰)巻 42より) [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で


大聖歓喜天は象頭をした男女双体の神で、次のような伝説があります。

インドのマラケラレツ王は大根と牛肉が大好物でした。
牛を食べつくすと死人の肉を食べるようになり、死人の肉を食べつくすと生きた人間を食べるようになりました。 
群臣や人民が王に反旗を翻すと、王は鬼王ビナヤキャとなって飛び去ってしまいました。
その後ビナヤキャの祟りで国中に不幸なできごとが蔓延しました。
そこで十一面観音はビナヤキャ女神に姿を変え、ビナヤキャの前に現われました。
女神は『仏法を守護することを誓うならおまえのものになろう』と言い、ビナヤキャは仏法守護を誓いました。


この物語は、御霊・荒魂・和魂という概念をうまく表していると思います。

神はその現れ方で、御霊(神の本質)・荒魂(神の荒々しい側面)・和魂(神の和やかな側面)の3つに分けられるといわれます。
そして荒魂は男神を、和魂は女神を表すとする説があります。
すると神の本質である御霊とは男女双体ということになると思います。

そして悪戯をする狸は男神で荒魂、狐は女神で和魂ではないでしょうか。

御霊・・・神の本質・・・・・・・歓喜天・・・・・・・男女双体・・・・辰巳大明神
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・鬼王ビナヤキャ・・・男神・・・・・・狸
和魂・・・神の和やかな側面・・・ビナヤキャ女神・・・女神・・・・・・狐


つまり、いたずらをする狸は狐と和合されて祠に祀られており、狸と狐の男女双体の神が辰巳大明神名のではないか?と思ったりします。
祇園 しだれ桜



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[2020/03/21 17:29] 京都府 | TB(0) | CM(0)

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