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戒長寺 お葉つきイチョウ 『お葉つきイチョウの不思議』 


奈良県宇陀市榛原戒場 戒長寺


①不思議な戒長寺のお葉つきイチョウ



以前、戒長寺の記事を書きました。
山部赤人の墓 額井岳 紅葉 『言霊の使い手&戒場=開成?』 
戒長寺の住職さんに素敵なお土産をいただいたので(ありがとうございます!)、今日はその話をしたいと思います。

まずはお土産の写真をご覧ください。↓

お葉つきイチョウ 
イチョウの葉っぱと銀杏です。
とても素敵なお土産で超うれしかったです!

住職さんがいうには、二股に分かれている葉が雄(向かって右)で、分かれておらず扇のような形をしているのが雌(向かって右より2つ目)だということです。
中央の黄色い葉っぱは雌ですが、よく見ると少し色が濃くなっているところがありますね。
写真ではわかりにくいかもしれませんが色の濃いところは少し盛り上がっていますよ。
これがどんどん膨らんで向かって左のようなお葉つきイチョウになるのだとか。
なんという不思議!

戒長寺 説明板


上は戒長寺にあった説明板です。内容を下にまとめておきます。

①イチョウは裸子植物のイチョウ科に属する。
②イチョウはシダのように胞子をつくる胞子植物と種子を種子植物の両方の性質をもつ。
③イチョウは受精の際、シダと同様運動する精虫ができる。
④シダ類は葉に胞子をつけるのと同様、お葉つきイチョウも葉に種子をつける。

http://www.kyoboku.com/ohatsuki/
上のサイトによると、お葉つきイチョウは日本には20本ほどしかなく、そのほとんどが雌株だとあります。
そして山梨県身延町八木沢にあるイチョウと、三珠町にあるイチョウの2株のみ、雌雄株だと書かれています。
しかし、住職さんいわく、戒長寺のお葉つきイチョウも雌雄株だということです。

戒長寺 本堂

戒長寺 本堂

②イチョウは精子をつくる。

まず一般的なイチョウについてみてみましょう・

https://www2.nhk.or.jp/school/movie/outline.cgi?das_id=D0005100132_00000
上のサイトの動画および説明がわかりやすいです。

①イチョウは4月ごろ花を咲かせる。雄の木は雄花(下向きに垂れ下がる)、雌の木は雌花をつける。(上向き)
②風で雄花から花粉が飛び、雌花の先からでた液に雄花の花粉がつく。
③花粉は液とともに雌花の先にある穴から吸い込まれる。
④吸い込まれた花粉は穴の奥にある小さな部屋に入り、精子を作る準備をする。
精子と受精する卵(らん)は、その小さな部屋の下にある丸い部分で作られる。
⑤9月、雌花は大きく育って垂れ下がる。卵がふたつでき、その下に精子ができる。
⑥精子は一つの袋に二つできる。繊毛(せんもう)を使って、袋の中で活発に動く。
⑦袋のまわりの空間は液体で満たされる。袋から出てきた精子はその中を泳ぎ卵に向かって受精する。


説明板に精虫とあるのは精子の事だと思います。

戒長寺 鐘楼

戒長寺 鐘楼



②お葉つきイチョウは花が咲くのか?

コトバンクに次のように記されていました。

葉が2裂して,片方が葉,片方が胚珠となること(お葉付きイチョウ)もイチョウの祖型を探る意味では興味ある現象である。


https://kotobank.jp/word/%E3%81%8A%E8%91%89%E4%BB%98%E3%81%8D%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6-1284157より引用

胚珠とは種子植物の種子になる部分のことをいいます。
花粉から花粉管が胚珠内部へと伸び、花粉内部の精細胞が胚珠内部の卵細胞と受精します。

ということは、お葉つきイチョウは葉の部分にこの胚珠ができるということだと思います。
コトバンクの説明では、葉が2裂してとありますが
戒長寺のイチョウは2裂しない葉に実ができていました。
戒長寺のイチョウは珍しい雌雄同株だということですし、他とはちがう性質をもっているのかもしれません。

受粉するということは、花が咲くということですよね?
戒長寺のお葉つきイチョウは雌雄体ということなので、たぶん雄花は咲くのでしょう。
雌花はどうでしょう?咲くのでしょうか?

戒長寺 遠望 

戒長寺 遠望


③大胞子葉と栄養葉


ウィキペディアには次のように記されていました。

現生の種子植物の中では、ソテツ類ともに最も原始的な性質を残した植物とされる。
雌花(大胞子葉)は栄養葉(普通の葉)に似た形をしており、実際葉にギンナンのついた「お葉つきイチョウ」(Ginkgo biloba 'Epiphylla' )も見られる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6%E9%A1%9E より引用

胞子葉とは胞子(生殖細胞)をつけるように分化した葉のことです。

ということは、雌花は咲かないんでしょうか?

春に双眼鏡持って見にいくしかないかな。ご存じのかた、教えてください!

④お葉つきイチョウの雄株、しかも性転換した!

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E6%9C%A8%E%B2%A2%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%8F%E3%83%84%E3%82%AD%E3%82%A4%E3%83%81%E3%83%A7%E3%82%A6

山梨県南巨摩郡身延町上八木沢にある八木沢のオハツキイチョウは珍しい雄株のお葉つきイチョウだそうです。
ふつうのお葉つきイチョウは葉に銀杏をつけますが、八木沢のお葉つきイチョウは銀杏ではなくおしべをつけるとのこと。

2011年、雄株なのに銀杏の実をつけているのが発見され、調査したところ、一枝のみ性転換していることがわかったのです。

⑤性転換する植物

性転換する植物は結構あるみたいですね。
マムシグサ、ムサシアブミなどは球茎の重さによって雌雄が決まるという研究があります。

イチョウは雄株のはずなのに銀杏が実ったという話が結構あるようです。

⑥雄略天皇は性転換して女神の一言主大神になった?

昔の人はイチョウが性転換するということを知っていたのではないでしょうか。

というのは大イチョウを御神木とする一言主神社にこんな神話があるんですね。

雄略天皇が葛城山に登る時、向かいの山の尾根伝いに山に登る人たちがありました。
その一行は天皇の一行とまったく同じいでたちをしていました。
雄略が『大和の国に私のほかに大君はないのに、今誰が私と同じ様子で行くのか』と問うと、
向かいの山の方から、『大和の国に私のほかに大君はないのに、今誰が私と同じ様子で行くのか』と同じ言葉が返ってきました。
雄略が『そちらの名を名乗れ。そしてそれぞれが自分の名を名乗って矢を放とう。』と言うと、
『私が先に問われた。だから私が先に名乗ろう。私は悪いことも一言、良いことも一言、言い放つ神。葛城の一言主の大神である。』と返事が返ってきました。
これを聞いた雄略は畏まり、『おそれおおいことです。わが大神よ。現実の方であろうとはわかりませんでした。』
と言い、自分の刀や弓矢、お供の着ている衣服も脱がせて拝んで献上しました。
一言主大神は、手を打ってそれを受け取り、雄略が帰る時、一言主大神一行が雄略を長谷の入口まで送りました。
 

長谷の枕言葉は『隠国(こもりく)の』ですが、『隠国の』は『志多備』の枕詞でもあります。
『黄泉の国』のことを『志多備国』ともいいます。
『隠国』とは『志多備国』『黄泉の国』のことで『長谷』は死の国なのではないでしょうか。

長谷という地名は葬送の地を意味していると聞いたこともあります。
今でも長谷寺の奥の院あたりにはたくさんのお墓があります。

つまり「名前を問われたほうが先に名乗る」というようなしきたりがあったのに、
雄略天皇がうっかり「それぞれが自分の名を名乗って矢を放とう」と言ったので
木霊(山彦)である一言主大神はまず自分が名を名乗る必要が生じたため、
実体のある神となって名を名乗り、雄略天皇を矢で射た。
そして一言主大神は死んだ雄略天皇を黄泉の国へ連れて行ったという話ではないかと思います。

そして一言主大神は女神だと考えられます。
というのは雄略天皇がこんな歌を詠んでいるからです。

籠(こ)もよ み籠持ち 掘串(ふくし)もよ み掘串持ち この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座(ま)せ われこそは 告(の)らめ 家をも名をも

(ヘイ彼女。いい籠持ってるじゃん。いいヘラ持ってるじゃん。この丘で菜を摘む彼女、家はどこ?名前はなんてーの?
大和の国は僕ちんが治めてるんだよん。僕ちんこそ名乗っちゃうよ。家柄も名前も。/友人による現代語訳)


これに対して彼女はこう答えたのではないかと思うのです。

『私が先に問われた。だから私が先に名乗ろう。私は悪いことも一言、良いことも一言、言い放つ神。葛城の一言主の大神である!』


一言主神は狩りをしていた。一方娘は菜を摘んでいた。二人は違うことをしているので、同一神ではないのではって?

でも狩りと菜摘みは関係があるんですよ。

狩りは鹿狩り、菜摘みは薬草を摘むことではないかと思います。
鹿狩と薬草摘みはどちらも古には旧暦5月5日に行われる行事で、薬狩りと呼ばれていました。

一言主神も娘も薬狩りをしていたということで共通点があり、同一神であると思うのです。

つまり男性である雄略天皇が性転換したのが一言主大神である(ふたりは同じ衣装を着ており同じ容姿をしていると考えられます。)ということで性転換するイチョウを一言主神社の御神木としたのではないかと思ったりするわけです。

一言主神社 公孫樹2 

一言主神社 御神木の大イチョウ

⑦容姿を気にする神は女神では?


平安時代の「日本霊異記」や「今昔物語集」にはこんな話が記されています。

役行者は鬼神たちに葛城山と吉野金武峰山を結ぶ橋をかけるよう命じたが、一言主神は顔が醜いのを気にして夜しか働かなかったため橋は完成しなかった。
これに怒った役行者は一言主神を呪術で縛り付けた。

容姿を気にするあたり、やはり一言主神は女神じゃないのかな、と思ってしまいます。

祇園祭 宵山 役行者山

上の写真は祇園祭・役行者山の御神体で、中央が役行者、向かって右は葛城神、向かって左は一言主神です。
一言主神は鬼の姿をしています。
私なんかは鬼の姿をした一言主神ってかっこいいと思いますが、一般的に見て美しいとは言い難いかも。
やはり観音菩薩のような優し気な顔を美しいと思う人がほとんどでしょう。

一言主神社 公孫樹 
一言主神社 御神木の大イチョウ


一言主神社の御神木の大公孫樹は気根が発達して乳房のように見えることから乳垂れイチョウと呼ばれています。
銀杏のにおいは記憶にないです。
なのでもしかしたら雄株かもしれませんが、その木姿から女神と考えられていたのではないかと考えられます。

また樹齢1200年ともいわれる古木なので、かつて銀杏の実をつけていた時代があったかもと思ったりします。











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[2019/12/30 13:53] 奈良県 | TB(0) | CM(0)

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