大阪府交野市 天田神社
秋祭 10月第2日曜日(確認をお願いします。)

①天田神社の御祭神、ニギハヤヒから住吉神に変わる?
天田神社の御祭神は上筒之男命、中筒之男命、底筒之男命、神功皇后 です。
これらの神々は大阪市の住吉大社にも祀られており、総称して住吉明神といわれています。
天田神社の由緒書には次のように書いてありました。
「平安時代に入り、京都の宮廷貴族が遊猟に来ては盛んに和歌を詠み、七夕伝説に因んで甘野川は天の川、甘田は天田と書くようになった。
その頃、住吉信仰が流行し一方、磐船の神も海に関係があると考えられ、さらに物部氏の衰退もあって、交野の神社の祭神は、饒速日命(にぎはやひのみこと)から、海神であり和歌の神である住吉神に替わって、今日に至っている。」
もともと天田神社の御祭神はニギハヤヒだったのが、平安時代ごろに住吉神に変わったというのです。
②住吉大神と大日如来、観音菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩は同一神
ニギハヤヒは物部氏の祖神で、天田神社からほど近い場所にある磐船神社の御祭神です。
この磐船神社の境内には、大日如来、観音菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩像が刻まれています。
この4体のみほとけは「住吉大神」と呼ばれています。
磐船神社 住吉大神みほとけなのに、住吉大神?
仏なのか神なのか、どっちやねん!と思われるかもしれませんが
明治まで神仏は習合されて信仰されてきました。
祖の神仏習合のベースとなったのが本地垂迹説です。
本地垂迹説とは日本古来の神々は、仏教の神々が衆上を救うため、仮に姿を現したものであるとする考え方のことで
御仏の仮の姿である日本古来の神々のことを権現、日本古来の神々のもともとの正体である仏教の神々のことを本地仏といいます。
つまり、住吉大神(底筒男命・中筒男命 ・表筒男命・神功皇后)は、大日如来、観音菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩が衆上を救うために仮にこの世にあらわしたものであり
住吉大神(底筒男命・中筒男命 ・表筒男命・神功皇后)のもともとの正体は大日如来、観音菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩であると考えられたということですね。
住吉大神と大日如来、観音菩薩、地蔵菩薩、勢至菩薩は同一神であるといってもいいでしょう。
③船の神つながり?
御祭神が変わるというのは実はそんなに珍しいことではないように思います。
調べものなどをしていると、よくそういう話がでてきます。
ただ、全く関係のない神様を御祭神にする、というようなことはしないのではないかと思ったりします。
ニギハヤヒと住吉神は関係があるのではないでしょうか。
由緒書では「磐船の神も海に関係があると考えられ」とあります。
住吉神社の総本社・住吉大社は現在は海岸線から随分と離れていますが、かつては神社のすぐ近くまで海であったといわれます。
長い年月の間に大和川が運ぶ土砂が堆積して住吉大社からどんどん海岸線が遠ざかっていったようなんですね。
そして住吉大社は海の神、航海の神として信仰されています。
③住吉大社はみたらし星の神?
しかし住吉大社は三ツ星の神ではないか、ともいわれています。
住吉大社の社殿のレイアウトがみたらし星(オリオン座の三つ星)に似ているというのです。(みたらし星は上図のように小さい星があって実は星四つで構成されています。)
④住吉神はタラシ王朝の神?住吉大社の第四本宮は14代仲哀天皇の皇后・神功皇后=息長足姫命 (おきながたらしひめのみこと)をお祀りしています。
もしかして、第一本宮、第二本宮、第三本宮に祀られている底筒男命・中筒男命 ・表筒男命とは、12代景行天皇(おお
たらしひこおしろわけのすめらみこと)、13代成務天皇(わか
たらしひこのみこと)、仲哀天皇(
たらしなかつひこのすめらみこと)のことなのではないでしょうか?
景行天皇・成務天皇・仲哀天皇は和風諡号に「たらし」とあるところから、「タラシ王朝」などともよばれます。
(神功皇后も和風諡号を「おきながたらしひめのみこと」といい、「たらし」がつきます。)
住吉神はタラシ王朝の神ではないかと思ったりします。
⑤タラシ王朝は物部王朝?
前回の記事、
天田神社 秋祭 『肩野物部氏の土地が石清水八幡宮の所領だったのはなぜ?』 に書いたように、
14代仲哀天皇の皇后・神功皇后は物部王朝の人物ではないかと思います。
すると「タラシ王朝」も物部王朝ではないかと考えられます。
神功皇后も仲哀天皇も「タラシ王朝」の人間で結婚したとなれば近親婚ですが、かつて近親婚はあたり前のように行われていたようです。
古代エジプトにおいても同複の兄妹、姉弟で夫婦になるということが行われていました。
その理由としては、血の純潔を守るという意識が強かったからではないかといわれています。
⑥ニギハヤヒも住吉明神も物部王朝の神そしてニギハヤヒは物部氏の祖神とされます。
つまり、住吉明神もニギハヤヒも物部氏の神なので、同一視されたということかもしれません。
磐船神社 ご神体 天の磐船