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五山送り火 鳥居型 燈籠流し『古の人々は月に平将門の面影を見た?』 

京都市右京区 広沢池
五山送り火・・・8月16日


※西山から五山送り火を見たいと思って、ロケハンにいったのですが、結局どこに行ったら見えるのかわからずじまい。
ご存じの方、教えてください!

広沢池 夕景 
広沢池の夕暮れ。まもなく精霊流し&五山送り火が始まります。

五山送り火 鳥居型2 
①五山送り火

8月16日、五山送り火。
五山の送り火は大文字(如意ヶ岳)・左大文字(左大文字山)・舟形(船山)・妙法(松ヶ崎西山・東山)・鳥居形(曼荼羅山)に火を燃やし、精霊送りする京都のお盆の行事です。

広沢池からは鳥居形を望むことができ、それにあわせて精霊流しが行われています。

②広沢池は月見の景勝地だった。

広沢池は別名を遍照寺池といいます。
989年、寛朝僧正が朝原山の麓に遍照寺を建立しましたが、その際本堂の南に庭池として造られたのが広沢池(遍照寺池)だと伝えられています。
(秦氏がため池として作ったとする説もあります。)

精霊流しの灯篭は参拝者が遍照寺におさめ、回向してもらった上で広沢池に流されます。(ネット予約、申し込みもできるようです。)

広沢池は古には月見の景勝地として有名であったようで、この地で多くの歌が詠まれています。

その中に源頼政の歌もあります。

遍照寺の月を見て

いにしへの 人は((みぎわ))に 影たえて 月のみすめる 広沢の池/源頼政
(古の人は水際で月を愛でたものだが、今は人影もなく、ただ月ばかりが澄んでいる。)


五山送り火 鳥居型 

③古の人は月に平将門の面影を重ねた?

古の人はなぜ広沢池で月見をしたのでしょうか。

「そりゃー、池に月が映ってきれいやからやん」って?
それはそうですが、私は月見にはもっと深い意味があったのではないかと思います。

遍照寺を創建した寛朝僧正は宇多天皇の孫にあたり。939年には朱雀天皇の勅命を受けて下総の国(千葉県)で平将門の乱平定の祈祷を行っています。
そうしたところ直ちに乱は平定され、その地に東国鎮護を目的として成田山新勝寺が建立されました。

981年、円融天皇が病になった際には、寛朝僧正は宮中で病気平癒の祈祷を行いました。
すると不動明王があらわれ、天皇の病は回復したということです。

成田山新勝寺のご本尊は不動明王です。
981年にあらわれた不動明王とは成田山新勝寺のご本尊の不動明王だと考えられます。

そして陰陽道ではあらぶる怨霊は十分に慰霊することで人々にご利益を与えてくださる和魂に転じると考えます。
さらに江戸時代まで、神仏は習合して信仰されていました。

成田山新勝寺の不動明王とは、幾多の怨霊伝説が残る平将門を供養することによって、東国鎮護の仏・不動明王に転じたものではないかと考えます。

つまり、円融天皇の病は平将門の怨霊の祟りであり、寛朝僧正が祈祷によって平将門の怨霊を不動明王に転じさせたので円融天皇の病は回復したということではないでしょうか。

その8年後の989年に遍照寺は創建されています。
ご本尊は十一面観音ですが、不動明王も祀られていて、広沢不動尊とも呼ばれています。

遍照寺の不動明王は平将門のイメージに重ねられているのではないでしょうか。

すると、遍照寺の庭池である広沢池に移る月、それは平将門のイメージであり、古の人々は平将門を供養する意味で月見を行っていたのではないかと思えるのです。

いや、もっと広く、謀反人と月のイメージを重ねたというべきかもしれません。

広沢池 精霊流し

④藤原道長は永遠に欠けることのない月を歌に詠んだ?

これに対して、こんな反論があるかもしれません。

藤原道長がこんな歌読んでいます。

この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば
(この世を私の世だと思う。今宵の満月のように欠けているところなど何もないのだ。)


これは月を栄光の象徴として詠んだ歌であって、月は謀反人の象徴だとはいえないのではないかと。

月は満ち欠けをしますね。
道長は満ち欠けをする月ではなく満月の状態を歌に詠んでいるのです。
実際にはありえませんが、明日には欠ける月ではなく、永遠に欠けることのない月を歌に詠んだと言ってもいいかもしれません。

古の人が広沢池で月を愛でたのは望月(満月)であったかもしれません。
ですが、それは道長が詠んだ欠けることのない月ではなく、明日には欠けてしまう月だとみな知っているので哀れみをこめて月を愛でたのではないかと思ったりします。

五山送り火 鳥居型3 


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