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祇園祭 宵山 伯牙山 『琴の名人・伯牙は鳴沙山を擬人化したものだった?』 


祇園祭宵山 7月14日~16日
 
伯牙山 宵山 

 ①聞き手を失って古琴をひかなくなった伯牙


伯牙山は中国の伯牙という人のエピソードをテーマとした山です。

中国春秋時代、晋に伯牙という古琴の名人がいました。
伯牙が琴をひき、楚の鍾子期がそれを聞きました。
伯牙が太山を思って琴をひくと、鍾子期は「高く険しい太山のようだ。」と言いました。
伯牙が流水を思ってきくと鍾子期は「勢いよく流れる流水のようだ」と言いました。
しかし鍾子期は亡くなってしまい、伯牙は「琴を聞かせる人はもういなくなってしまった」と考えて琴を壊し、生涯琴を弾きませんでした。
(『知音』呂氏春秋)


伯牙山 ご神体2 

伯牙山 ご神体 拍牙像 手に琴を壊す斧を持っています。

次のように記されたサイトもありました。

春秋時代、伯牙は古琴を弾く名手であった。船で遠出した彼は中秋の夜、偶然きこりの鍾子期に出会う。伯牙が弾く一曲ごとに、鍾子期はその曲の内容と、そこに込めた伯牙の気持ちを言い当てた。2人は船上で、お互い胸の内を打ち明け、兄弟の契りを結び、1年後、再びこの場所で出会うことを約束した。

翌年の中秋、伯牙は約束の場所で演奏していたが、鍾子期の姿は見えなかった。鍾子期はすでにこの世を去っていたのだ。鍾子期は亡くなる前、自分の魂が伯牙と約束した場所で会えるように、岸辺に埋葬させたことを、伯牙は後に知った。

伯牙は鍾子期の墓前に来て、泣きながら琴を弾いた。周りを取り囲んだ観衆は、手をたたき笑いさざめいた。伯牙は天を仰ぎ、大きくため息をついて、「鍾子期がいなくなった今、誰が私の琴の音を理解してくれるだろうか」と、古琴の弦を切り、たたき壊してしまった。(2005年12月号より)(写真・文=魯忠民)

http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2008-09/02/content_148510.htm より引用

鍾子期は木こりとなっています。
そして二人は中秋の夜に出会い、兄弟の契りを結び、1年後の再開を約束したものの、鍾子期はすでに亡くなっていた。
鍾子期は自分の魂が伯牙と約束した場所で会えるように岸辺に埋葬するよう遺言しており、遺言は実行された、というのです。
ただし、こちらの話のほうは出典がわかりません。

杉本家住宅

伯牙山のお飾り場となっている杉本家住宅

 
②琴柱のない琴と琴柱のある箏(こと)

上の写真の提灯や幕に描かれている紋は箏(こと)の柱(じ)をデザインしたものですね。
箏の柱は琴柱、箏の駒ともいい、箏の弦の音程調節に用いられる可動式の支柱のことです。

伯牙山 琴柱

伯牙山 お飾り場 杉本家住宅に展示されていた和琴の琴柱


箏は琴と混同されがちですが、琴のほうは琴柱がなく、指で弦をおさえて音程をきめるのだそうです。

伯牙は古琴の名人だったとありますが、古琴は琴柱を用いる箏ではなく、琴柱を用いない琴です。
日本で和琴と呼ばれているものは琴柱を用いる箏なので、混同されたのでしょうか。



古琴を演奏している動画があったのでお借りしました。
琴柱がなく、弦を指で押さえて引いていますね。美しく響く音色にうっとりです~。

③琴をお引きください!

琴といえば私は仲哀天皇の物語を思い出します。

第14代・仲哀天皇は、筑紫の訶志比宮(かしひのみや)で熊曽国(南九州)を討とうとして琴を弾き、武内宿祢が沙庭で神託を請いました。
すると神功皇后が神がかりして住吉明神の神託を告げました。
「西の方に国あり。そこには金銀のほか、輝くような珍しい宝がたくさんある。その国を従わせよう。」
天皇は「高い所に登り、西の方を見てもただ大海が見えるだけだ」といいました。
すると神は怒り、「お前なんかに国を治める資格ないよ!お前なんか死んじゃえ!」といいました。
武内宿祢は天皇に「琴をお引きください!」と言いましたが、琴の音が聞こえなくなり、天皇は崩御されていました。
その後神功皇后が神託に従って三韓出兵したくさんの宝物を持って帰りました。


伯牙山 琴
 
伯牙山 お飾り場 杉本家住宅に展示されていた和琴

④鳴き砂で吉凶を占っていたのでは?


仲哀天皇は筑紫の訶志比宮にいまいたが、訶志比宮は福岡市東区香椎付近にあったと考えられています。
そして福岡県には姉子の浜・恋の浦・勝浦浜・白石浜(福岡県福津市)など鳴き砂で有名な浜があります。

鳴き砂とは仲哀天皇が弾く琴の音、あるいは仲哀天皇の声そのものであると考えられてこの物語は作られたのかも?

吉備津神社では鳴釜神事といって、火にかけた釜の音で吉凶を占う神事があります。
この鳴釜神事と同じく、鳴き砂の音で、ものごとの吉凶を占っていたのではないでしょうか。

 琴引浜 采女(合成)
 
鳴き砂で有名な琴引浜

⑤伯牙は鳴沙山を擬人化したもの?

すると伯牙も鳴き砂を擬人化したものではないか、と思えてきました。
調べてみると、中国(かんしゅくしょう)敦煌(とんこう)に鳴沙山(めいさざん)という砂山があり、風が吹くと砂が泣くような音がするということがわかりました。
ほかにも、ハミ市伊州や新疆ウイグル自治区昌吉回族自治州(しょうきつかいぞくじちしゅう)モリ・カザフ自治県にも鳴沙山と呼ばれる山があるそうです



↑ 敦煌の鳴沙山の前には月牙泉があるそうです。

「月牙」は中国語で三日月を意味します。 砂漠の中のオアシスで、三日月に加工された池があります。

伯牙と月牙泉は伯が共通します。
また、①の話を思い出してください。
伯牙は中秋の夜、きこりの鍾子期に出会ったとあり、月牙泉をイメージさせます。

中秋とは陰暦8月15日のことです。
陰暦は月齢をベースとした暦です。
すなわち、新月の日は1日、三日月の日は3日、満月(十五夜)の日が15日のように、月齢(月相)によって日にちがきまっています。

伯牙は月牙泉と関係があるんじゃないかと思うのはトンデモですかねw。

伯牙山 ご神体

⑥鳴沙山は鳴らない?

伯牙は琴を壊して二度と演奏しなかったということですが、
伯牙=鳴沙山とすれば、鳴沙山はかつては風が吹くと砂が鳴っていたが、いつのまにか鳴らなくなったということでしょうか?

日本の鳴き砂などでもゴミがたまったりすると鳴らなくなるので、掃除をしていると聞きます。

ウィキペディアには次のように記されています。

鳴るためにはゴミ(浮遊性の植物起源のゴミは含まない)が少ない必要があり、また、自然界の鳴き砂は粒度範囲が限られ(地質学で砂と定義されている粒度範囲)1mm以上の砂、200µm以下の砂の鳴り砂、鳴き砂はないようである。
海浜の工事(波消しブロックを設置したり、岬の工事等)などのために海流が変化し砂の成分構成(鉱物成分や粒度分布など)が変わってしまうと鳴らなくなる。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%B4%E3%81%8D%E7%A0%82 より引用

鳴沙山はかっては鳴っていたが、今は鳴らなくなってしまったのでしょうか?

次のような書き込みもありました。

鳴沙山とはいえ、鳴らない。普通の砂漠と一緒。おそらく、数十人が一緒に滑ると、鳴るのかなと思う。

https://www.tripadvisor.jp/ShowUserReviews-g303695-d2297317-r312977256-Mingsha_Shan_Echoing_Sand_Mountain-Dunhuang_Gansu.html
より引用

ですが、下の動画は風が吹いて砂が鳴っている音のようにも聞こえます。(中国語はわかりません・・・汗)



↓ こちらは琴引浜の鳴き砂文化館に設置されているブーミングサンドの装置だそうです。





伯牙山 タペストリー 
伯牙山 タペストリー

伯牙山付近のろうじ

伯牙山近くに会った雰囲気のあるロウジ(路地・・・京都弁ではロウジと発音します。)

祇園祭 宵山 月鉾 『月鉾を調べたら伯牙山の謎がとけた?』 へつづく~



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毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!







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[2019/07/21 15:14] 京都の祭 | TB(0) | CM(0)

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