気象庁の「噴火警戒レベル」は次のようになっているそうです。(ソースはこちらです→
☆)
【レベル1】平常
【レベル2】火口周辺規制
【レベル3】入山規制
【レベル4】避難準備
【レベル5】避難
☆ ←こちらは武田邦彦さんのブログに掲載されていた御嶽山の地震のグラフです。
このグラフを見ると、8月28日まで全く地震は観測されていません。
ただし、8月より前はどうだったのか、わかりません。
8月29日より地震が観測され始め、9月11日にピークとなり、この日80回以上もの地震を観測しています。
その後地震が減り始めますが、全く地震がなくなったというわけではありません。
私には地震や火山噴火の知識はありませんが、専門家である岡田・北大名誉教授がはっきりとこうおっしゃっています。
「多くの人が入山しているシーズンであり、社会的リスクが高まっていましたから、群発地震があった時点で安全策としてレベル2(火口周辺規制)に引き上げるべきでした」 http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=22206より引用
ここから察するに、8月以前に9月に観測されたような群発地震は観測されておらず、9月の群発地震は異常な状態であったのではないでしょうか。
そして次のようにもおっしゃっています。
「小規模な水蒸気爆発を予知するのは難しいですが、だからこそ専門家がどのように判断し対応するかが問題になるのです。
群発地震が発生し、さらに低周波の震動をキャッチした段階で調査に入り、地熱地帯が拡大しているとか火山ガスの変化を測ることで判断できることがあります。
群発地震が減少した段階で、警戒レベルを上げるのをためらったようだ。
しかし、再度増えた後に噴火した。先手を打てなかった」 http://www.hokkaido-nl.jp/detail.cgi?id=22206より引用
レベルのひきあげを行わなかったことについて予知連絡会は次のように説明しています。
「もともと今回起こった水蒸気爆発を予知するのは非常に難しい。突発的に起こることが多く、11日の地震が前兆なのかという保証もない。
それをもって予知に失敗したというかもしれないが、ある意味では仕方のない状態。
われわれの火山噴火予知に関するレベルというのはまだそんなもの。
ただ、もう少し情報の伝達に関しては、直接、登山客に対する働きかけがあってもよかったかもしれない」 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140929/dst14092900140002-n1.htmより引用
「少しでも危険があるんだったら近づかないというのも手だ。そうすると活火山には近づくなということになるが、本当にそれでいいのか。完全に安全だということは自然現象に関してはあり得ない。もし完全な安全を求めるのであれば、危険なところには一切近づかないという解があってもいいが、それは住民、国民が納得するかどうか」
「こういう異常があって、次にどういうことが考えられるか、もう少し丁寧な情報発信があってもいい。噴火警戒レベルがあるから100%予知ができる、噴火の前にレベルを上げることができるというようなことは考えないでほしい。今回、今まで御嶽山で経験したことのない現象を経験したわけですから、警戒レベルそのもの、レベルの上げ方を改善していく余地はある」 http://www.sankei.com/affairs/news/140929/afr1409290002-n2.htmlより引用
この予知連絡会の発言について考えてみたいと思います。
①もともと今回起こった水蒸気爆発を予知するのは非常に難しい。突発的に起こることが多く、11日の地震が前兆なのかという保証もない。 確かに11日の地震が前兆なのかという保証はないでしょうが、前兆でない保証もまたないと思います。
多くの人が登山しているときに火山が噴火がおこれば今回のように大参事になるので、群発地震は噴火の前兆かもしれない、と考えるべきではないでしょうか。
岡田名誉教授は「群発地震が減少した段階で、警戒レベルを上げるのをためらったようだ。」とおっしゃっています。
この発言を聞くと予知連絡会は「もしかすると噴火するかもしれない」程度には考えていたのではないかと思われます。
警戒レベルを上げるのをためらったのは、「警戒レベルをあげたが結局噴火しなかった」というフライングの状況を恐れたのでしょうか。
警戒レベルをあげると地元の観光業に影響がでるでしょう。
しかし、観光業でもっとも大切なのは観光客が安全に旅行を楽しめることですから、フライングは仕方がないと理解することが必要だと思いますし、予知連絡会は地元の理解が得られるよう、努力してほしいと思います。
②少しでも危険があるんだったら近づかないというのも手だ。そうすると活火山には近づくなということになるが、本当にそれでいいのか完全に安全だということは自然現象に関してはあり得ない。もし完全な安全を求めるのであれば、危険なところには一切近づかないという解があってもいいが、それは住民、国民が納得するかどうか。 「少しでも危険があるんだったら」とおっしゃっていますが、今回は群発地震が起きていました。
予知連絡会は群発地震を「少しの危険」ととらえていたということでしょう。
地震が起きていない状態なのに、[火山にはちかづくな]はやりすぎだと感じますが、群発地震がおきるという通常とは異なる状態になっていたので安全策をとるべきだったと思います。
予知が難しいのであればあるほど、より安全側によった対策をとるべきだと思うのです。
「住民、国民が納得するか」とありますが、別に火山などに登れなくても国民の多くは困らないでしょう。
火山のほかにも美しい風景は日本にはたくさんあるからです。
しかも火山に比べて安全な場所がいくらでもあります。
地元の方々は経済的なダメージをこうむるので納得しないかもしれませんね。
しかし人の命と経済のどちらが大事かといえば間違いなく人の命ですし
安全であるという思いがあるからこそ、観光客がやってくるのだと思います。
通常とは違った兆候がある場合にきちんとレベルのひきあげが行われるということは観光客にとっては大変安心できることですし
またそういうことがきちんと行われていると、レベルが下げられたときに「行ってみようか」という気持ちになるのだと思います。
③噴火警戒レベルがあるから100%予知ができる、噴火の前にレベルを上げることができるというようなことは考えないでほしい。 あまりに極端な発言です。
私たちは100パーセントの予知を求めているのではありません。
岡田教授が「群発地震がおこった時点で安全策としてレベル2にひきあげるべきだった」とおっしゃっているように、多くの人は安全策を求めているのだと思います。
ともかく、予知連絡会は『噴火の前にレベルを上げることはしない』と明言していますので、命を大切にしたいと思うならば、私たちは今後火山には行けない、ということになってしまいます。
地元の観光業の方々は「風評被害で観光客が来ない」と嘆かれるかもしれません。
こういうとき、日本人は責任の所在をまちがいがちなのですが
御嶽山に観光客がやってこない状況になったとすれば、それは観光客が偏見を持ってやってこないのが悪いのではありません。
予知連絡会が、「予知してレベルのひきあげを行わない」と明言しているのに、どうして火山に行くことができるでしょうか。
繰り返しますが、何かあったときにはレベルのひきあげが行われるということであれば、それでも100パーセント安全ではないでしょうが、まずは安心して登れますし
万が一噴火しても自然の力にはあがなえないとあきらめもつきます。
先日、専門家とおぼしき人がこんなことを言っていました。
「御嶽山は噴火がおさまったら美しい自然が戻ってくる。なのでぜひ御嶽山に登ってほしい。」
まだ御嶽山では救助活動が続いている状態なのに、なぜこのタイミングでこういう発言をするのか、と思いました。
でも、まあ、それはおいておくとして。
この専門家は論点をすりかえています。
御嶽山が美しいかどうかは、関係がありません。
それよりも観光で訪れるためには安全かどうかが問題なのです。
そして噴火連絡会がこのような態度である以上、安全性が確認できないので、私たちは火山には登るのをあきらめるしかないのです。
また噴火してからレベルを上げるのであれば、そんなことは私にでもできます。
予知はしないと明言するのであれば、予知連絡会という名称をあらためるべきでしょう。
それ以前に、予知をしないと明言する予知連絡会などという組織は不要ではないかとも思います。
ただ、「
今回、今まで御嶽山で経験したことのない現象を経験したわけですから、警戒レベルそのもの、レベルの上げ方を改善していく余地はある」ともおっしゃっています。
今回のことは十分に反省していただいて、今後は安全策としてレベルをあげるということを検討したいただきたいと思います。
私たちは100パーセントの予知を求めているわけではありませんし、フライングを認めないと言っているわけでもないのです。
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