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芥川 桜  『在原業平はその心あまりて、ことばたらず。』 


大阪府高槻市 芥川
2019年4月8日 撮影


芥川 桜2

①在原業平と藤原高子の駆け落ち(伊勢物語 芥川)


芥川は伊勢物語の舞台として有名ですね。

男(在原業平)が藤原高子と駆け落ちをして芥川へやってきました。
高子は草の上の露をみて「あれはなあに?」と聞きました。
道中はまだ長く、夜がふけ、雷が鳴り響き、雨もひどくなってきたので、男は高子を蔵の中にいれ、自分は弓とやなぐいを背負って扉の前で見張っていました。
蔵の中には鬼がいて、高子を一口で食べてしまいました。
高子は「あれえ」と言ったのですが、雷に打ち消されて男の耳には届きませんでした。
夜が明けてきて男が蔵の中を見ると高子がいません。
男は地団駄を踏んで泣きましたが、どうしようもありませんでした。

白玉か 何ぞと人の 問ひしとき 露と答へて 消えなましものを
(あれは真珠?何なの?と高子が問うたとき、露と答えていれば、消えてしまっただろうに。)


百人一首かるた

在原業平が背負っていた「やなぐい」とは矢をいれて携行する道具のことです。
上の百人一首かるたに描かれた在原業平は背にやなぐいを負っているようで、肩越しにやなぐいの中に差し入れた矢が見えていますね。

下は須賀神社・ささげ祭に登場したやなぐいを背負う人です。

須賀神社 ささげ祭 
白玉か 何ぞと人の 問ひしとき 露と答へて 消えなましものを

この歌の「なまし」とは「①~しまうかもしれない。②きっと~だろう。」という意味です。

また「芥川」の「芥(あくた)」とは「ごみ、ちり、くず」という意味です。
露がちりのように粉々になって消えてしまうという意味で、芥川を舞台としているのではないでしょうか。

そして、ここに登場する鬼とは本物の鬼のことではなくて、高子の兄・藤原基経の比喩です。


②業平は高子が好きで駆け落ちしたのではなかった?

情熱的な恋の物語?
私はそうではないと思います。
高子は業平のことを愛していたと思いますが、業平はそうでもなかったのではないかと思います。

その理由は古今和歌集の詞書に次のようにあるからです。

五条の后)の宮の西の対にすみける人に、本意)にはあらで物言ひわたりけるを、

これは「五条の后(仁明天皇の后、藤原順子)の宮の西側の建物に住んでいる人(藤原高子のことだと考えられています。)に、業平は本気ではなかったのだが通っていたが」という意味になります。

芥川 桜

③業平は高子が惟仁親王に入内するのを阻止しようとした?

業平はなぜその気もないのに高子のもとへ通い、駆け落ちまでしたのでしょうか?

業平は平城天皇の孫でしたが、平城天皇が薬子の変をおこして、嵯峨天皇に敗れたため、業平の父・阿保親王は薬子の変に関与したとして大宰府に流罪となりました。
阿保親王はようやく許されて帰京しましたが、自分の子供(在原行平・業平ら)の臣籍降下を願い出て、許され、在原姓を賜ったのです。
阿保親王は自分の子供の臣籍降下を願い出ることで、朝廷に逆らう意思がないことを証明しようとしたのかもしれません。

その後、在原業平は惟喬親王の寵臣として仕えます。

惟喬親王の父親は文徳天皇、母親は紀静子でした。
文徳天皇には藤原明子との間に惟仁親王もありました。
文徳天皇は惟喬親王を皇太子にしたいと考えて源信に相談しましたが、源信は当時の権力者・藤原良房(藤原明子の父)を憚って天皇を諫めました。
こうして藤原良房の孫・惟仁親王(のちの清和天皇)が皇太子となりました。

世継ぎ争いに敗れた惟喬親王はたびたび歌会を開いていますが、その歌会のメンバーに僧正遍照・在原業平・紀有常(紀静子の兄・惟喬親王の叔父)らの名前があります。
また在原業平は紀有常の娘を妻としており、紀氏側の人間でした。
彼らは歌会と称し、惟喬親王をもちあげてクーデターを計画していたのではないかとも言われています。

藤原高子と兄・藤原基経は当時の権力者・藤原良房の養子です。
良房は娘・明子を文徳天皇に入内させましたが、これについで、養女の高子を惟仁親王(のちの清和天皇)に入内させることでさらに権力を高めようと考えたようです。
そして在原業平が高子をさらったのは、高子が惟仁親王(のちの清和天皇)に入内するのを阻止するためだったとも言われています。

しかし、業平の計画は失敗し、高子は兄・基経に連れ戻され、惟仁親王(のちの清和天皇)に入内してしまうのですが。

教宗寺 
芥川橋近くにある教宗寺

④六歌仙は全員藤原氏と敵対関係にあった人物だった。

古今和歌集仮名序で名前をあげられた6人の歌人(僧正遍照・在原業平・文屋康秀・小野小町・喜撰法師・大友黒主)のことを六歌仙と言います。

高田祟史さんは六歌仙は藤原氏と敵対関係にあった人物で、怨霊であるとおっしゃっています。

そこで六歌仙ひとりひとりについて調べてみると、全員藤原氏と確執があることがわかります。

喜撰法師紀名虎または紀有常だという説があります。
私は喜撰法師とは紀氏の血のこい惟喬親王のことだと考えています。
参照/私流トンデモ百人一首 8番 わが庵は『喜撰法師は紀仙法師で惟喬親王のことだった?』 

遍照は桓武天皇の孫ですが父の良岑安世が臣籍降下しました。遍照は藤原良房にすすめられて出家したと伝わるが、彼は出家した理由を決して人に話さなかったといいます。

在原業平は紀有常の娘を妻としており、惟喬親王 の寵臣でもあり紀氏側の人物でした。

文屋は分室とも記され、文屋康秀は分室宮田麻呂と血のつながりがあると思われます。
分室宮田麻呂は謀反を企てたとして流罪となっていますが、死後冤罪であったことが判明しています。
分室宮田麻呂は藤原北家に暗殺されたのではないかとする説もあります。

大友黒主
は大伴黒主とも記され、大伴家持とほとんど同じ内容の歌が残されています。
大友黒主とは大伴家持のことだと思います。
大伴家持は藤原種継暗殺事件に関与したとして当時すでに死亡していたのですが、死体が掘り起こされて流罪となっています。
参照/ 陰陽 黒と白⑩ 大友黒主の正体は大伴家持だった? 

残る小野小町について、私は「小野宮」と呼ばれた惟喬親王のことではないかと考えています。
惟喬親王はもちろん男性なのですが、古今和歌集には男性が女性の身になって詠んだ歌というのがたくさんあります。
古今和歌集の編者の一人である紀貫之も土佐日記で「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」と自らを女と偽って日記を書いています。
参照/ 私流 トンデモ百人一首 9番 花のいろは・・・  『小町の歌は男らしく堂々とした歌だった。』 

惟喬親王像

滋賀県東近江市 惟喬親王陵 惟喬親王像

⑤ことばたらず=「露」と答えなかった?

古今和歌集仮名序は在原業平のことを次のように書いています。

ありはらのなりひらは、その心あまりて、ことばたらず。しぼめる花の、いろなくて、にほひのこれるがごとし。  
(月やあらぬ春やむかしの春ならぬわが身ひとつはもとの身にして。
おほかたは月をもめでじこれぞこのつもれば人のおいとなるもの。
ねぬるよのゆめをはかなみまどろめばいやはかなにもなりまさるかな。)

※()内は注釈。

「その心あまりて、ことばたらず。しぼめる花の、いろなくて、にほひのこれるがごとし。  」は、そのあとの注釈にある3つの歌の説明のようでもありますが
私は、伊勢物語 芥川の話の事を言っているように思えます。
男(在原業平)が藤原高子と駆け落ちをして芥川へやってきました。
高子は草の上の露をみて「あれはなあに?」と聞きました。
道中はまだ長く、夜がふけ、雷が鳴り響き、雨もひどくなってきたので、男は高子を蔵の中にいれ、自分は弓とやなぐいを背負って扉の前で見張っていました。
蔵の中には鬼がいて、高子を一口で食べてしまいました。
高子は「あれえ」と言ったのですが、雷に打ち消されて男の耳には届きませんでした。
夜が明けてきて男が蔵の中を見ると高子がいません。
男は地団駄を踏んで鳴きましたが、どうしようもありませんでした。


白玉か 何ぞと人の 問ひしとき 露と答へて 消えなましものを
(あれは真珠?何なの?と高子が問うたとき、露と答えて消えてしまえばよかったのに。)

教宗寺2 
川橋近くにある教宗寺

高子は露を見て「あれはなあに?」と聞きましたが、業平はそれには答えていません。
これが「ことばたらず。」ではないでしょうか?
古今集仮名序は、業平はこのとき、高子に「露」とこたえるべきだったと言っているのではないでしょうか。
そうすれば、言霊が働いて高子は露のように消えてしまい、高子は惟仁親王(のちの清和天皇)に入内することなく、高子の養父の藤原良房がますます権力を高めることはなかったのにと。

「消えなましものを」は一般には業平が「自分が消えてしまったらよかったのに」と考えたと訳されます。
日本語は主語を省略することがあるので、あいまいですね。
私は業平が消えてしまえばよかったのにと考えたのは、自分自身のことではなく、高子のことではないかと思います。

芥川 桜

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[2019/04/10 21:28] 大阪府 | TB(0) | CM(0)

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