奈良県五條市 念仏寺
鬼ばしり・・・1月14日
①阿弥陀如来に仕える善い鬼[鬼はしり」は修正会結願の行事で、500年以上の歴史をもちます。
室町時代中期に領主・坂合部是房の弟頼澄別当が東大寺二月堂の修二会に倣って始めたといわれていますよ。
念仏堂の鬼は阿弥陀如来に仕える善い鬼とされているそうです。確かに、人のよさそうな(鬼のよさそうな?)顔をしていますね。
午後1時半ごろより大般若経転読が始まります。鬼とは怨霊のことだと言ってもいいと思いますが
五條には怨霊で知られる井上内親王の墓や、井上内親王の霊を祀る御霊神社もありますね。
そのため、怨霊に親しみや信仰があり、怨霊=鬼は悪いもの、というよりも、よいものだという認識があるのかもしれません。
奈良の元興寺には「がこぜ」と言う鬼の伝説がありますが、節分会では「福は内、鬼も内」といいます。
こちらも、怨霊や鬼に親しみや信仰があり、怨霊や鬼をよきものとする認識があるのだろうと思います。
大般若経転読を終えた僧侶たちのお練り井上内親王は光仁天皇の皇后でしたが、天皇を呪詛したとして五條に幽閉されてしまったのです。
子の他戸親王も連座したとして廃太子となり、母親とともに五條に幽閉され、ふたりは幽閉先で同じ日に亡くなりました。
山部親王の立太子をもくろむ藤原良継・藤原百川らの陰謀だともいわれています。

↑ お経を運ぶ棒を用いて板を叩くと、境内に乾いた音が響き渡ります。
「観音様の肩叩き」と呼ばれ、かつては堂内の壁を叩いていたそうです。
②陀々堂の鬼ばしりで火事にならない理由陀々堂の鬼ばしり出は松明を持った鬼が堂内をまわりますが、いままで火事になったことがありません。
地元の方がその理由を教えてくださいました。
お堂の
須弥壇の裏では日中からどんどん火を焚いています。
午後4時ごろより、昼の鬼走り・子供の鬼走り(写真は子供の鬼走り)が行われます。
堂内に煙がたちこめていますね。

午後4時半ごろより福餅撒き
午後4時50分ごろ、茅葺の屋根に放水が行われました。これも火災対策のひとつですね。
堂内で護摩供が行われ、堂内の煙はますます充満していきます。
お堂の外でも護摩が焚かれます。
午後9時ごろ、夜の鬼走りが始まります。堂内に充満した煙がお堂の外にまで流れてきていますね。
この煙が火災防止に効果的だというのです。
鬼は松明を持ったまま堂内に入っていくのですが、煙が充満した堂内の上部にはH2O(水蒸気)、CO2(二酸化炭素)、COがたまり、O2(酸素)が少ない状態になっています。
火が燃えるためには酸素が必用で、酸素が少ないと火が燃えません。
そのため堂内に持ち込んだ松明の炎は小さくなります。
そして、お堂の入り口付近に鬼が立つと、そこには酸素が多くありますから松明の炎は大きくなるというわけです。
バックドラフトのようなものですね。
うーん、すごい知恵だ!
↑ 父鬼面(赤鬼)
長さ60cm、幅42.5cm、重さ4.5kg。
↑ 母鬼面(青鬼)
長さ51.5cm、幅38cm、重さ4.5kg
子鬼面(茶鬼)
長さ47.5㎝、幅35.5cm、重さ3.2kg。
大きなお面は顔を火傷から守ってくれるとのことです。
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