三重県三重郡菰野町 湯の山温泉
2018年11月12日 撮影
①鹿の湯温泉
湯の山温泉は別名を鹿の湯温泉ともいい、こんな伝説があります。
木こりは狩人がやってきたのを鹿に教えて助けた。
数日後、鹿が木こりを訪ねてきて、「助けてくださってありがとうございました。お礼にいいことを教えましょう。私がいたくぼみには温泉が湧いていてケガによく効くのですよ。」
と教えました。
実際にクマや猿が温泉につかっていることがあるそうですが、鹿も温泉につかるんでしょうか?
動画など探してみましたが、見つかりませんでした。
②鹿は謀反人の比喩
実際に鹿が温泉につかることもあるのかもしれませんが、鹿は謀反人の比喩だと思います。
日本書紀に『トガノの鹿』という物語があり、鹿とは謀反人を比喩したものであるとする説があるのです。
雄鹿が『全身に霜がおりる夢を見た。』と言うと雌鹿が『霜だと思ったのは塩であなたは殺されて塩が振られているのです。』と答えました。
翌朝猟師が雄鹿を射て殺しました。
時の人々は『夢占いのとおりになってしまった』と噂しました。 (トガノの鹿)
大仏殿 鹿
鹿の夏毛には白い斑点がありますね。それを塩に見立てたのでしょう。
謀反の罪で殺された人は塩を振られることがあり、 鹿とは謀反人の象徴なのではないかというのです。
③折り鶴伝説
湯の山温泉にはこんな伝説もあります。
江戸時代、上方の大店のひとり娘の葵と使用人の佐吉は身分違いの恋に落ち、湯の山にやってきました。
そして蒼滝に身を投じて心中しようとしたのですが、そこへ僧兵が現れ「温泉にでもつかれば、気持ちが変わるかも」といいました。
ふたりは僧兵の言葉通り、温泉に入りました。
すると、心中せずに頑張って生きていこうという気分になりました。
翌朝、二人は僧兵にお礼を述べようと三岳寺を訪れたました。
しかし僧兵の姿は見えず、ふたりは鶴を折って寺へ奉納しました。
不思議なことに折鶴は連なってひらひらと舞い上がり、飛びたっていきました。
ふたりは上方に帰り、(たぶん結ばれて)数年後に再び三岳寺を訪ねました。
山岳寺の住職は「もう何十年も僧兵はいない」といいました。
④鳥による温泉発見伝説
鳥が温泉を発見したという話が全国にたくさんあります。
白鷺温泉 | 愛知県 | 傷ついた白鷺が湯に浸かって傷を癒すのを見た人によって発見された。 |
山中温泉 | 石川県 | 奈良時代、行基が発見した。 文治年間長谷部信連が鷹狩にやってきた際、白鷺が芦の間の流れに傷脚を洗うのを見て発見し, 12件の湯宿を開いた。 |
片山津温泉 | 石川県 | 1653年、大聖寺藩二代藩主、前田利明が柴山潟に鷹狩りに訪れた際、 水面に水鳥が群れていたのを見て湖底の温泉を発見した。 |
和倉温泉 | 石川県 | 漁師の夫婦が七尾湾の沖合で、傷ついた足を癒す白鷺を見つけたことから発見された。 |
湯涌温泉 | 石川県 | 718年、紙漉き職人が泉で白鷺を見つけたことから発見された。 |
白山中宮温泉 | 石川県 | 泰澄が谷川で傷ついた白鳩を見つけたことから発見された。 |
粟津温泉 | 石川県 | 718年、泰澄が白山大権現のお告げに従って掘ったところ温泉が湧き出た。 |
下呂温泉 | 岐阜県 | 天歴年中(947~957年)に温泉が湧き出たとされますが、1265年、温泉が出来なくなった。 翌年、飛騨川の河原に白鷺が舞い降りると、再び温泉が湧き出るようになった。 |
道後温泉 | 兵庫県 | 足を傷つけた白鷺が足を湯に浸したところ、たちまち傷が治って飛び立った。 |
山代温泉 | 石川県 | 725年、行基が白山へ修行に向かう途中、八咫烏が羽の傷を癒すのを見て発見した。 |
有馬温泉 | 愛媛県 | 神代、大己貴命と少彦名命が三羽の傷ついた烏が傷を癒すのを見て発見した。 |
※表では石川県が多いですが、 全部の温泉を調べたわけではないので、たまたまネットでぐぐった結果見つかったのが石川県の温泉だったという可能性が高いです。
⑤折り鶴は白or黒?折り鶴というのは、白鷺による温泉発見説話の変形バージョンだと思います。
表を見ると、白い鳥(白鷺・白鳩)と黒い鳥(八咫烏・烏)のバージョンがありますね。
湯の山温泉の折り鶴は白でしょうか?黒でしょうか?
湯の花温泉の伝説では、折鶴は連なって飛び立ったとあるので、二羽の折り鶴が飛び立ったのでしょう。
そして、色は片方が白で、もう片方が黒だと思います。
その理由は、僧兵のいでたちを見ればわかります。

上は鞍馬寺・竹伐会式に登場した僧兵です。
白と黒の衣装を身に着けていますね。
そして、折り鶴は僧兵の化身だと思われます。
また折り鶴となっているのは僧兵の着物の裾がプリーツスカートの様に折りたたまれているからじゃないかと思いますが、どうでしょう?
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[2018/11/16 12:06]
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