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城南宮 白拍子の舞 『北海道に旅立った義経と錫』 


京都市伏見区  城南宮
白拍子の舞・・・11月3日


城南宮 白拍子 
①静御前

白拍子といえば、源義経の妾の静御前を思い出す人も多いのでは。

源義経は兄・頼朝に嫌われ、都落ちをして尼崎の大物浜より吉野山へのがれました。
静御前は義経に従っていましたが、危険であるとして義経は静を京に送り返そうとしました。
ところが、護送のためにつけた男たちは金目のものを奪って逃げてしまい、静は迷って、蔵王堂へやってきました。
静は僧兵たちに捕らえられ、京都の北条時政の屋敷に送られ、さらに鎌倉へと送られて取り調べを受けました。

源頼朝と政子が鶴岡八幡宮に参拝した際、静は舞を命じられました。

城南宮 白拍子

静はこんな歌を詠みつつ舞いました。

しづやしづ しづのをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな
倭文(しず)の布を織る麻糸をまるく巻いた苧(お)だまきから糸が繰り出されるように、繰り返し昔を今にする方法があればなあ)

吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき
(吉野山の峰の白雪を踏み分けて山に入っていった義経のあとが恋しいわ。)

城南宮 白拍子


これを聞いた頼朝をかんかんになって怒りますが、政子は「私が御前の立場であっても、あの様に謡うでしょう」といって命を助けました。
しばらくして、静は義経の子を産みますが、男子であったため、殺されることになりました。

静は泣いて抵抗しましたが、静かの母親・磯禅師が赤子を取り上げて使いに渡し、赤子は由比ガ浜に沈めて殺されてしまいました。
静母子は京へ帰ることとなり、憐れんだ政子と大姫がたくさんの宝をあたえました。

城南宮 白拍子 

②静がなまって鈴久名になった?

岩手県宮古市鈴久名の鈴ヶ神社では静御前を祀っており、こんな伝説が伝えられていますよ。

静御前は義経一行と別れ、金売り吉次に連れられ、安全のため遠回りし、秋田経由で当地にやってきました。
土地の人々は大聖山の閉伊川沿いに館を建て、静をかくまいました。
隣の箱石地区の山名家には、義経一行が身をよせていました。
ときどき義経は静を訪ねてきては、ひと時を過ごしました。
その後義経は北海道へ旅立ち、その際山名家に鞍馬寺の毘沙門天を置いていき、その毘沙門天は、現在も山名家が別当をつとめる判官神社で祀られています。
静は義経の二人目の子を出産しますが、難産で墓誌ともに亡くなり、金売り吉次が子供の御骨を京都の実家に持っていきました。



金売り吉次は義経記などに登場する伝説的な人物で、奥州の金を京で商っていたとされます。
源義経は金売り吉次の助けを得て奥州藤原氏の元へと下ったということです。

鈴久名の地名は静がなまったものだといわれます。
この地方のなまりでは「しずか」が「すずか」になるのだそうです。

城南宮 白拍子 
③鈴久名は鉱山または鉱物にちなむ地名では?

金売吉次は平泉の金を扱う商人だということをふまえて考えると、鈴久名はて鉱山または鉱物にちなむ地名じゃないかと思ったりしますが、どうでしょう?

岩手には鉱山がたくさんあるそうですし。

錫(スズ)という鉱物がありますね。
で、昔の日本では漢字の意味はあまり重要視されていなかったようで、たとえば奈良東大寺の転害門付近の地名は手貝町となっていたりします。
万葉仮名なんかも漢字の意味を重要視せず、漢字の音を日本語にあててつくられていますね。
鈴久名の錫は錫からくるのではないでしょうか?

城南宮 白拍子2



錫の加工品は奈良時代に唐より持ち込まれた可能性が高いとのことです。銅と錫の合金は青銅です。
日本での青銅の生産は紀元前1世紀ごろには始まったと考えられています。

鈴久名は奥州藤原氏が本拠地としていた平泉の北にあり、岩手県で鉄が生産されるようになったのは奥州藤原氏が栄えた平安時代にまでさかのぼります。

また
http://www.bunka.pref.iwate.jp/rekishi/rekisi/data/jyomon_7.html
上記サイトによると岩手の終末期古墳の中に、北海道積丹半島を起点に流通したといわれる錫製の釧(くしろ=腕輪)があると記されています。

どうやらこの地域では古くから北海道産の錫を扱っていたようです。
・・・・・そういえば、義経は北海道に旅立ったという伝説があるのでしたね。

北海道からとりよせた錫と、義経伝説をあわせた結果、義経が北海道にいったなどという伝説が生じたのかも?

城南宮 曲水の宴 歌人と白拍子

城南宮 菊 


城南宮 すすき



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