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唐招提寺 うちわまき 舞楽 黄菖蒲 菖蒲 『蚊の妖怪・紫女』 


奈良市 唐招提寺
うちわまき 5月19日

唐招提寺 うちわまき

①蚊遣り火

そろそろ蚊のシーズンがやってきますね。
先日、我が家でも蚊がぶんぶんと飛んでおりまして、蚊取り線香をたきました。
この蚊取り線香ができたのは1890年のことで、大日本除虫菊株式会社の創業者・上山英一郎さんが開発したんだそうです。

それ以前の日本では、蚊遣り火(かやりび)を用いて蚊を駆除していました。
よもぎの葉、カヤの木、杉や松の青葉などを火にくべて煙をたたせることで蚊を追い払うのだとか。

唐招提寺 振鉾

蚊遣り火の週間は平安時代ごろからあったようで、鎌倉時代の文献にも登場します。

六月(みなづき)の頃、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遣火ふすぶるもあはれなり 徒然草/吉田兼好
(六月ごろ、みすぼらしい家に夕顔が白く咲いているのが見え、蚊遣火がくすぶっている情景をみるとしみじみとした気持になる。 )

かやり火の けぶりのあとや 草枕 たちなんのべの かた見なるべき 藤原定家
(蚊遣り火の煙のあとよ、旅をして一夜野宿をした その形見のようにみえる。)


※現代語訳、まちがっているかもです。(汗) 

唐招提寺 舞楽 陪臚

このように古くから蚊遣り火の習慣があったのですが、鎌倉時代の唐招提寺の僧・覚盛上人(かくじょうしょうにん)は蚊遣り火を焚かなかったのかもしれません。

というのは、覚盛上人は殺生を好まず、自分を刺した蚊さえ殺さなかったというのです。
蚊遣り火には殺虫効果はなさそうなので、もしかしたら焚いたかな?

覚盛没後、教えを受けた法華寺の尼僧たちが「せめてうちわで蚊を払ってほしい」と霊前にうちわを供えたという話が伝えられています。
うちわまきの行事はこれにちなむものとされます。

唐招提寺 うちわ 
②紫女は蚊の妖怪?


以前、こちら ↓ の記事に「妖怪・紫女」について書きました。
国営ひたち海浜公園 ネモフィラ 『吸血鬼 紫女』 

妖怪・紫女とねんごろな仲になった男は血を吸われてげっそりと痩せてしまい、最後には死んでしまうといわれます。

紫女とは蚊の妖怪だとも考えられますね。血を吸う蚊はメスなので。

唐招提寺 舞楽 蘭陵王 



③覚盛は法華寺の尼僧(紫女)に血を吸われて死んでしまった?

すると法華寺の尼僧たちが霊前にうちわを供えた、というのが気になります。

法華寺は尼寺なので、当然尼僧ばかりがいるお寺なわけです。
法華寺の尼僧は紫女で、覚盛は法華寺の尼僧(紫女)に血を吸われて死んでしまったということなのかな?

またうちわとは人の心や霊をまねく呪具でもありました。
法華寺の尼僧たちは覚盛の心を自分たちのほうにむけるためにうちわを奉納したんだったりして?

唐招提寺 舞楽 納曽利

④鑑真の再来・覚盛と光明皇后

覚盛は、奈良時代に唐招提寺を創建した鑑真の再来ともいわれています。
そして法華寺は光明皇后が創建したお寺です。

覚盛=鑑真、法華寺の尼僧=光明皇后
で、光明皇后が鑑真の血を吸って殺しちゃったという話だと考えるのはあまりにもトンデモ?

唐招提寺 黄菖蒲

いやいや、そうでもないかもですよ。
光明皇后は甥の藤原仲麻呂を寵愛していたといいます。
その藤原仲麻呂のあとおしを受けて、淳仁天皇が即位しています。

758年、淳仁天応は鑑真を大和上とし、僧綱の任を解きました。
僧綱とは仏教の僧尼を管理する役職です。
ウィキペディアには次のように記されています。

「政治にとらわれる労苦から解放するため僧綱の任が解かれ、自由に戒律を伝えられる配慮がなされた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%91%91%E7%9C%9F より引用

なんでもものはいいようでしてね、「政治にとらわれる労苦から解放するため」といいますが、実は「鑑真に僧尼を管理させないため」とも考えられませんか。


鑑真が日本にやってきたのは754年ですから、758年はそれからまだ4年しかたっていません。
それなのに役職を解かれてしまったのは、鑑真にとって残念なことだったのではないでしょうか?

そして、それは僧尼の人事を自分の思いのままにしたいという藤原仲麻呂の意思によるものであり
そのため藤原仲麻呂を寵愛していた光明皇后が鑑真を不幸に追い込んだと考えられたのかも?

唐招提寺 菖蒲 


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