奈良県大和郡山市 町屋物語館(旧川本邸)
大和な雛祭・・・3月4日まで 大和郡山城周辺
①仮名・諱・幼名・稚児名
源九郎稲荷神社?
源九朗義経と関係ある?
源九朗義経とは牛若丸、源義経のことです。
源義経は仮名(けみょう)を九朗といい、源九朗義経ともいわれます。
仮名とは、江戸時代以前、諱(本名)を呼ぶことをさけ、用いられていた通称のことです。
古代には貴人や死者を本名で呼ぶことを避ける習慣があったそうで、そこから仮名が作られるようになったとされます。
諱で呼びかけることができるのは親や主君など限られた人のみで、それ以外の人間が諱で呼びかけることは無礼なことだと考えられていたそうです。
なぜそのように考えられたのかというと、名前を呼ぶことはその名前を持つ人を支配することができるというような信仰があったためのようですね。
牛若丸というのは幼名です。
平安時代~江戸時代には、武士や貴族の子供は元服して諱をつける習慣があり、元服するまでは幼名が用いられていたのです。
牛若丸は
遮那王(しゃなおう)とも呼ばれていましたが、これは11歳で鞍馬山に預けられ稚児となったときの稚児名です。
ややこしいですね~。
②矛盾する社名の由来と、創建説話源義経が兄の源頼朝と対立した際、稲荷神の神使である狐が何度も義経を助けてくれました。
そのため義経は狐に源九朗の名を贈ったと伝えられます。
これがのが社名の由来と伝わります。
一方、神社の創建説話には次のようにも伝わります。
翁の姿をした源九郎狐が、長安寺村の宝譽という僧の夢枕に立ち、「郡山城に自分を祀れば、城の守護神になろう」と告げた。
宝譽はさっそく豊臣秀長にこれを告げたところ、城内竜雲郭に稲荷が創建されたと。
一瞬、聞き流してしまいそうになりますが、よく考えてみると矛盾していますよね。
源義経が兄の頼朝と対立するようになったのは平安時代末の1185年のことです。
しかし源九郎神社が創建されたのは、豊臣秀長が郡山城の城主であったときだと考えられます。
秀長が郡山城に入ったのは1585年なので、創建年は1585年より早い時期であるとは考えられません。
1585年は、義経vs頼朝の兄弟争いから400年もたっています。
空白の400年の間、稲荷は別の場所に祀られていたのでしょうか。
それとも、稲荷神が存在していただけで、社は作られていなかったのでしょうか?
五色椿のようなつり飾りは神社の奥様が手作りされたものです。
③義経千本桜
義経が源九郎狐に助けられるという話は、人形浄瑠璃や歌舞伎の『義経千本桜』にもあります。
『義経千本桜』では、義経が兄頼朝に追われ、吉野山まで逃げる道中、佐藤忠信に化けた白狐が、静御前を守ったことになっています。
静御前というのは源義経の愛人で、白拍子でした。
『義経千本桜』の初演は1747年ですが、これより早い時代に義経が源九朗狐に助られたという伝説があり、それをもとに「義経千本桜」が作られたという可能性もあります。

下鴨神社 名月管弦祭 白拍子
④源九郎狐と静御前の雨ごいの関係
この静御前が神泉苑で舞を待って雨をふらせたと言われています。
源九郎神社には「豊臣方大野治房による郡山城攻撃で城下町が火災がおこったが、洞泉寺住職天誉和尚が、源九郎狐に祈願をしたところ、突然大雨が降り大火を免れた。」という伝説があります。
この伝説は静御前が雨ごいをして雨をふらせたということをうけて創作されたものではないでしょうか。
黒猫ちゃんも奥様の手作りですよ。
⑤源九郎稲荷は義経の化身だった?
話をもどします~。
源九朗稲荷が創建されたのは1585年以降、一方社名の由来は1185年に源義経が稲荷に源九朗の名をおくったとされ、400年のずれが生じます。
この矛盾はなぜ生じたのか、というお話をしたかったのでした。
源九朗稲荷が創建されたのは、創建説話にあるとおり、豊臣秀長が大和郡山城主であったときでしょう。
1585年以降の話でしょうね。
おそらく夢をみた宝譽か豊臣秀長が源九朗義経を崇敬しており、それで義経を稲荷神として祀るというアイデアを思い付いたのではないでしょうか。
①で、『名前を呼ぶことはその名前を持つ人を支配することができるというような信仰があった』と書きました。
その大事な名前を義経は稲荷に与えたというのですから、これはただごとではありません。
『義経が稲荷に源九朗という名を贈った」というのは『稲荷神は義経の化身』であるということではないかと思います。
稲荷神は義経の化身と考えられたことから、稲荷が義経を助けたというような伝説が生じ、それが人形浄瑠璃や歌舞伎にとりいれられて「義経千本桜」はつくられたのではないでしょうか。
この超キュートな文化人形も奥様の手作り! かわええ~。
まとめサイトなどへ無断で転載することはおやめください。
歴史ブログ・旅 free style もよろしくお願いします~。
毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!

にほんブログ村
- 関連記事
-
[2018/03/05 00:00]
奈良の祭 |
トラックバック(-) |
コメント(-)