FC2ブログ















妙満寺 紅葉 『安珍はイザナギで、清姫はイザナミ?』 

京都市左京区 妙満寺
2017年12月初旬撮影


妙満寺 門


①安珍・清姫の鐘


平安時代の「大日本国法華験記」や「今昔物語集」に安珍・清姫の物語が記されています。

醍醐天皇の御代の928年、奥州白河より僧侶の安珍が熊野詣でにやってきて紀伊国牟婁郡真砂の庄司・清次に宿を借りました。
清次の娘・清姫はイケメンの安珍に一目ぼれし、夜這いしてしまいます。
「おやめくだされ。私は修行中の身。しかし帰りには必ずここへ立ち寄りましょう。」
安珍はそういって出て行きましたが、熊野詣をしたあと、立ち寄らないまま行ってしまいました。
怒った清姫は安珍を追いかけていき、上野の郷で安珍に追いつきました。
しかし安珍は熊野権現の力を得て清姫を金縛りにし、逃げ出してしまいます。
怒り狂う清姫は蛇に姿を変え、口から火を噴きながら安珍を追いかけます。
道成寺に逃げ込んだ安珍は寺の者に梵鐘をおろしてもらいその中に隠れました。
清姫は鐘に巻き付き、安珍は鐘の中で焼き殺されてしまいました。
清姫は蛇の姿のまま入水しました。

妙満寺 鐘楼 
この物語から400年ほどたった1359年、道成寺は鐘を再興しました。
しかし白拍子があらわれて鐘供養を妨害しました。
そのせいかこの鐘は音が悪く、また災害や疫病をもたらしたため、山に捨てられました。

さらに200年ほど後、豊臣秀吉が根来攻めを行い、秀吉の家臣・仙石秀久が山でこの鐘をみつけ、戦利品として京都へ持ち帰りました。
そして清姫の怨念をとくため、法華宗総本山の妙満寺に鐘を奉納したといわれます。
また秀久は重くて持ち帰ることができず捨てたのを、誰かが拾って妙満寺に奉納したともつたわります。

安珍・清姫の鐘の写真はこちら→ http://myomanji.jp/midokoro02.htm

SekienDojoji-no-kane

https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ASekienDojoji-no-kane.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b8/SekienDojoji-no-kane.jpg よりお借りしました。
作者 Toriyama Sekien (鳥山石燕, Japanese, *1712, †1788) (scanned from ISBN 4-336-03386-2.) [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で


②怒ったイザナミがイザナギを追いかける。

怒る女が男を追いかけるという話は、イザナギとイザナミの神話を思い出させます。

イザナギは死んだイザナミを迎えに黄泉の国へ行きます。
イザナミは「黄泉の大王に相談してくるので、その間決して振り返って私の姿を見ないでください」といいました。
しかしイザナギは我慢できなくなってイザナミの姿を見てしまいます。
イザナミの体は腐り、蛆がわいていました。
おそろしくなったイザナギは逃げ、イザナミが追いかけますが、なんとかイザナギは逃げ切りました。


真砂の里では「安珍は清姫と結婚の約束をしていたが、清姫の蛇の姿を見て恐れて逃げた」とも伝えられているそうです。
これは「イザナギが、イザナミの腐って蛆がわいた姿を見て怖くなって逃げた」というのと似ていますね。

妙満寺 仏舎利大塔


③熊野の国は根の国だった?

古事記によれば、イザナミが葬られた土地は出雲であり、あの世とこの世の境である黄泉平坂は出雲国の伊賦夜坂だとされています。
日本書紀では黄泉の国は「根の国」となっており、イザナミの墓は熊野有馬村の花の窟(花窟神社)としています。
根の国もまた熊野にあると考えられていたのではないでしょうか?

とすれば、熊野を逃げ回っていた安珍は根の国を逃げ回っていたということになり、ますますイザナギのイメージと重なります。

ただ結末は、イザナギが逃げ切ったのに対し、安珍は逃げ場のない鐘の中に自ら逃げ込んだために焼き殺されてしまっています。

逃げ切ったイザナギを陽、逃げきれなかった安珍の物語は、イザナギの話を陰に転じたものではないかと思います。

妙満寺 紅葉


このようにある物語を陽から陰、または陰から陽へと転じた物語はたくさんあります。

例えば、イザナギ・イザナミは兄妹で契り国つくりをし、国つくりの途中でイザナミが死んで黄泉の国へ行ってしまいますが
大国主と少彦名神はきょうだいの契りを交わして国つくりをしますが、国つくりの途中で少彦名神は常世の国へ行ってしまいます。

イザナギ・イザナミは兄妹で契って国造りをする。国造りの途中でイザナミが死ぬ。イザナミは黄泉の国(地獄)へ行く。
大国主と少彦名神はきょうだいの契りを川市て国造りをする。国造りの途中で少彦名神が死ぬ。少彦名神は常世の国(天国)へ行く。

イザナギはイザナミの姿を見ておそろしくなって逃げる。なんとか逃げ切った。
安珍は清姫の姿を見ておそろしくなって逃げる。つかまって殺された。


妙満寺 大書院 




まとめサイトなどへ無断で転載することはおやめください。

歴史ブログ・
旅 free style もよろしくお願いします~。

毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!




にほんブログ村



関連記事
スポンサーサイト

[2017/12/05 14:52] 京都府 | トラックバック(-) | コメント(-)