大阪市北区 大阪天満宮
①厩猿信仰
函館山 猿回し 『猿はなぜ馬の守護神とされたのか』
↑ こちらの記事で次のようなことを書きました。
①古くから猿は馬の守護神と考えられていた。(厩猿信仰)
②正中年間(1324~1326)成立の石山寺縁起絵巻には、厩につながれた猿が描かれている。
③十一面観音の長い腕は猿をおもわせる。
④猿は十一面観音、馬は馬頭観音をあらわしているのではないか。
⑤十一面観音は花瓶を持っているが花瓶には水が入っているだろう。十一面観音は水の神ではないか。
⑥馬頭観音は憤怒の表情で、光背は炎で表現されることが多い。馬頭観音は火の神ではないか。
⑦陰陽五行説の『相克説』では『水剋火(水は火を消す。)』と考える。
水=十一面観音=猿、火=馬頭観音=馬 となるところから、猿は馬の守護神と考えられたのではないか。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hokkeiji_Nunnery_Eleven-Headed_Kwannon_I_(303).jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/7/77/Hokkeiji_Nunnery_Eleven-Headed_Kwannon_I_%28303%29.jpg
Imperial Japanese Commission to the Panama-Pacific International Exposition [Public domain]
↑ この写真がわかりやすいかな?
猿は膝を曲げて立つので、腕が長く見えますね。
②将門しか乗りこなせない馬
厩猿信仰から、私は繋ぎ馬の紋を思い出してしまいます。
繋ぎ馬の紋は相馬氏の家紋で、相馬氏は平将門の子孫を称しています。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ACrestOfSoumaClan.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/8b/CrestOfSoumaClan.jpg
作者 正親町三条 (投稿者自身による作品) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], ウィキメディア・コモンズ経由で
関西では平将門は朝廷に逆らい「新皇」を名乗った逆賊だととらえるむきが強いですが(私は将門ファンですが~)
関東では平将門は英雄視されているそうですね。
平安京の貴族たちが安逸をむさぼっているために将門が乱を計画し、天もこれを認めて黒馬を将門に与えたという伝説が伝えられています。
ところがこの馬は将門しか乗りこなすことができないので、繋いであるというのです。
また「じゃじゃ馬に 常陸の伯父御 くいつかれ 」という川柳があります。
じゃじゃ馬とは平将門、常陸の伯父御とは将門の 伯父の平国香のことです。
このように将門自身が馬に喩えられることも多かったようです。
北斗七星は天帝の乗り物であるなどと言われます。
天帝にはさまざまな意味がありますが、道教でいう天帝とは北辰(天の北極)を神格化した神のことです。
天帝は天皇大帝ともいいわれます。
ということは、平将門が天帝であり、相馬氏の家紋の繋ぎ馬は北斗七星を表したものだったりして?
馬の形はなんとなく北斗七星を思わせる形をしていませんか?
頭から首が北斗七星の柄杓部分、胴体は持ち手です。
③繋ぎ馬は北斗七星、二本の杭は北極星、をあらわす?
飛鳥昭雄さんによれば古事記・神世第4代に登場する角杙神・妹活杙神という神名の『杙』とは牛や馬を繋ぎとめておくためのものであるといいます。
ヘブライ語で『角』と『光る』はどちらも『krn』と記します。
つまり角とは光のことで、角杙神とは光りながら地球のまわりを回る神=太陽、妹活杙神の活とは『満ち欠けする』の意で、満ち欠けしながら(活)地球の周りをまわる女神=月のことであるというのです。
『杙』は地球で、太陽や月は地球につなぎ留められていると考えるわけですね。
飛鳥さんの説をヒントに考えてみたのですが、繋ぎ馬紋の馬を繋いである杭は北極星を表しているのではないでしょうか。
そして杭につながれている馬は北斗七星を表しているのではないかと思います。
「北極星はひとつだ、でも繋ぎ馬の家紋には杭が二つあるやん」って?
北極星がひとつだというのは現代の感覚ではないかと私は思います。
かつては北極星がふたつあった時代があったかも?
④歳差運動と変化する北極星
地球の北極の延長線上に位置する天球上の場所のことを天の北極(北辰)といいます。
これを神格化したのが天皇大帝(天帝)でしたね。
天の北極にある星のことを北極星といいますが、時期によって北極星は変わります。
北極星が変わるのは、地球が歳差運動といって下図のように独楽がぶれるような動きをしているためです。
地球の歳差運動の周期は約25800年です。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gyroscope_precession.gif
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/82/Gyroscope_precession.gif
LucasVB [Public domain]
この歳差運動が原因で北極星になる星がかわってくるのです。
地球の歳差運動の周期は約25800年です。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Precession_N.gif
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/16/Precession_N.gif
Tauʻolunga [CC BY-SA 2.5 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.5)]↑ 歳差による北極星の変遷の図を見ると、かなり大きな円を描いて北極星が変遷することに驚かされます。
現在の北極星はポラリス(こぐま座α星/上図+2000の文字の向かって左の星)とされていますが、若干天の北極からずれており、天の北極の周囲を小さな円を描いて回っています。
上記図に+2000とか+4000とあるのは西暦だと思います。
武家の家紋は保元平治の時代(1156年以降)説、源頼朝の時代(1192年以降)説などがあります。
平将門が亡くなったのは940年、将門の子孫を称する相馬氏の初代・相馬 師常の生没年は1139-1205です。
そこで、ざっくりと1000年ごろの天の北極をみてみると、特に目立った星がありません。
ポラリスの下にある星はといいます。
天の北極はポラリスとイルドゥンの中間あたりにあったので、杭がふたつあるのではないでしょうか。
⑤こぐま座は猿座?http://shinshizo.com/2012/10/%E9%A6%AC%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8A%E4%B8%96%E8%A9%B1%E3%82%92%E3%81%99%E3%82%8B%E7%8C%BF-%E3%83%BB%E3%83%BB%E3%83%BB-%E7%8C%BF%E3%81%A8%E9%A6%AC/
↑ こちらのブログに興味深い写真が掲載されています。
神馬をひく猿の像の写真です。
神馬が北斗七星をあらわしているとするならば、猿はこぐま座をあらわしていたりして?
こぐま座という名前は西洋でつけられたものです。
一方、厩猿信仰はインドから中国をへて日本に伝わったものですから、子熊ではなく、猿と認識されていた可能性はあります。
こぐま座には長い尻尾がある、日本猿は尻尾が短いといわれるかもしれません。
でも、中国に住んでいるキンシコウや、インドの猿の姿をした神・ハマヌーン、ハマヌーンのモデルとされるハマヌンラングールは尻尾が長いです。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hanuman_showing_Rama_in_His_heart.jpg
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/38/Hanuman_showing_Rama_in_His_heart.jpg
Anant Shivaji Desai [Public domain]
そして厩猿信仰はインドから中国をへて日本に伝わったのでしたね。
なので日本においてもこぐま座は猿座であると考えられていた可能性はあります。
つまり、猿が馬を曳く像は、こぐま座が北斗七星を曳くのをあらわした像、いや北斗七星は平将門などの怨霊を象徴する星であり、猿(こぐま座)がその怨霊(北斗七星)が逃げ出さないようにとらえているの図なのではないかと思ったりします。
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京都府綴喜郡宇治田原町 正寿院
風鈴まつり・・・9月18日まで http://shoujuin.boo.jp/?page_id=224今回も風鈴にちなみ、鈴彦姫の話でーす。
①ひとつの体でパーツが二人分ある神(妖怪)前回、妖怪鈴彦姫の顔になっている大きな鈴(鰐口)は女性器、鈴彦姫の頭についている鈴は男性器の隠語であり
鈴彦姫とは男女双体の妖怪である、という話をいたしました。
おふさ観音 風鈴 『鈴彦姫は彦?姫?どちら?』
hhttps://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/e/e4/SekienSuzuhiko-hime.jpgttps://commons.wikimedia.org/wiki/File:SekienSuzuhiko-hime.jpg よりお借りしました。
Toriyama Sekien (鳥山石燕) [Public domain]そして、男女双体の神として、歓喜天(仏教野神)、伏義&女媧(中国の神)、道祖神(日本では猿田彦&天鈿女)などをあげました。
多気山不動尊 道祖神ここでこんなことをおっしゃる方があるかもしれません。
歓喜天(仏教の神)、伏義&女媧(中国の神)、道祖神(日本では猿田彦&天鈿女)は体はつながっているかもしれないが、体がふたつある。
しかし、鈴彦姫は体は一つしかない。
そのとおりですね、説明が足りませんでした。
鈴姫彦は体はひとつですが、頭部に大きな鈴(鰐口)と小さな鈴をつけており、男女双体をあらわしているように思えます。
同じように体はひとつで、別の部分で男女双体をあらわしていると考えられる神がいます。
吉田神社 鬼やらい神事方相氏です。
平安時代、節分には、上の写真のような四ツ目の方相氏と呼ばれるものが「鬼やらい」といいながら宮中を歩き回り、目に見えない鬼を祓うという行事を行っていたそうです。
方相氏はなぜ四ツ目なのでしょうか。
以前、ネットで以下のような内容の記事をよみました。今、ぐぐっても見つからないのですが~。(すいません!)
(い)方相氏は中国の天神、蚩蚘(シュウ)ではないか。
(ろ)蚩蚘は炎帝神農氏の子孫であり、兵器を発明し、霧をあやつる力を持つ神。
(は)『帰蔵』は蚩蚘の姿を『八肱(八つの肘)、八趾(八つの足)、疏首(別れた首)』と記す。
(に)『疏首』というのは、首が二つあるということだ。
(ほ)蚩蚘とは二頭の獣が合体した神ではないか。
(へ)そう考えると蚩蚘が『八肱(八つの肘)、八趾(八つの足)』をもっていることの説明もがつく。
(と)『述異記』には『銅の頭に鉄の額、鉄石を食し、人の身体、牛の蹄、四つの目、六つの手を持つ』とある。
(ち)『四つの目』とあるのも二頭が合体しているのだろう。
(り)二頭を合わせると足は8本だが、人の体をしているので、8本の足のうち2本が脚で、残りの6本が手(腕)ということだろう。
つまり、方相氏は蚩蚘(シュウ)を日本的にした神であり、体はひとつだが、四つの目を持たせることで男女双体を表した神ではないかと思われるわけです。
正寿院 地蔵堂
正寿院より茶畑をのぞむ
②お寺の鰐口と神社の鈴の関係①で「大きな鈴のことを鰐口という」と書きましたが、お寺のお堂前につりさげられているこれ ↓ も鰐口といいます。
正寿院 鰐口正寿院へ行った帰り、猿丸神社を参拝しました。
猿丸神社↓ 神社にはこういった鈴がとりつけられています。
猿丸神社 鈴つまり、寺では鰐口、神社では鈴を鳴らして参拝するわけですが、次のように考えられないでしょうか。
寺社 | 寺 | 神社 |
鳴り物 | 鰐口(女性器の隠語) | 鈴(男性器の隠語) |
神仏 | 女神(和魂)または 男女双体の神(仏)を祀る。
| 男神(荒魂)を祀る。 |
③本地垂迹説補足が必要ですね。
まず、明治まで神仏は習合されて信仰されていました。
神社に神宮寺があったり、寺に鎮守の社があったりしたのです。
北野天満宮の例がわかりやすいと思います。
北野天満宮の神宮寺だった東向観音寺のご本尊は道真御作と伝えられています。
しかし、東向観音寺の門前には「天満宮御本地仏 十一面観世音菩薩」と記された石碑が建てられています。
天満宮とは北野天満宮の御祭神・菅原道真のことだと思います。
本地仏とは本地垂迹説からくる言葉です。
本地垂迹説とは日本古来の神々は仏教の神々が衆上を救うため仮にこの世に姿を現したものであるとする考え方です。
そして仏教の神が仮にこの世に姿をあらわした日本古来の神々のことを「権現」、
日本古来の神々のもともとの姿である仏教の神々のことを「本地仏」といいました。
つまり、「天満宮御本地仏 十一面観世音菩薩」とは「菅原道真は十一面観音の生まれ変わりである」というような意味になると思います。
東向観音寺すると、「道真御作」というのは本当に道真が十一面観音を刻んだという意味ではなく、「怨霊として(道真の死後、疫病や天災があいつぎ、これらは道真の怨霊の仕業と考えられました。)人々に畏れられた道真が成仏して十一面観音になった」という意味ではないかと思えます。
寺社 | 東向観音寺 | 北野天満宮 |
鳴り物 | 鰐口(女性器の隠語) | 鈴(男性器の隠語) |
神仏 | 女神(和魂)または 男女双体の神(仏)を祀る。 十一面観音(菅原道真が成仏した姿)を祀る。 | 男神(荒魂)を祀る。 菅原道真を祀る。
|
北野天満宮
④女神は和魂、男神は荒魂をあらわす?次に御霊信仰についてお話しします。
神はその表れ方で御霊・荒魂・和魂にわけられるといい、御霊は神の本質を、男神は荒魂を、女神は和魂をあらわすとする説があります。
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・男神
和魂・・・神の和やかな側面・・・女神
御霊・・・神の本質・・・・・・・男女双体これに③を合わせて考えると、次のようになると思います。
荒魂・・・神の荒々しい側面・・・男神・・・・神社・・・鈴(男性器の隠語)
和魂・・・神の和やかな側面・・・女神・・・・寺・・・・鰐口(女性器の隠語)
御霊・・・神の本質・・・・・・・男女双体もしかしたら鈴彦姫の顔になっているのは、大きな鈴ではなく、お寺にかけられている鰐口なのかも?
猿丸神社 夫婦猿。この石も男女双体の神石、道祖神として信仰されていたのかもしれませんね。
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