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おふさ観音 薔薇 『地上と水中の世界をつなぐ亀』 


奈良県橿原市 おふさ観音
2018年5月20日 撮影

おふさ観音 薔薇

①白い亀の背中に乗った観音様


かつて、おふさ観音の本堂がたっているあたりは大きな池で、池は鯉ヶ淵と呼ばれていました。
1650年4月、お房という娘が、鯉ヶ淵のそばを歩いていると、白い亀の背中に乗った観音様が現れました。
そこでお房が池のそばに小さなお堂を建てたのが、おふさ観音の始まりとされます。

境内には鯉の池、亀の池というふたつの池がありますよ。

鯉の池は鯉ヶ淵から、亀の池は鯉ヶ淵から亀の背中に乗った観音様が現れたという伝説からネーミングされたものでしょう。

おふさ観音 鯉の池 
鯉の池

おふさ観音 亀の池 
亀の池

②総持寺にも現れた亀に乗る観音

大阪府茨木市にある総持寺にも亀に乗った観音様の伝説が伝えられています。

この寺は平安時代に藤原山蔭によって創建されたのですが、
山蔭の父親が漁師から買い取った亀を逃がしてやったところ、船から落ちた山蔭を背中に乗せて現れたというのです。

この話は『今昔物語集』にも記されています。

亀に乗った観音が現れたのは、おふさ観音が江戸時代、総持寺が平安時代なので、総持寺の話のほうが先ということになりますね。

おふさ観音 薔薇2 

③浦島太郎伝説

亀といえば浦島太郎伝説を思い出しますね。
浦島太郎は助けた亀に竜宮城に連れてこられ、海神の娘・乙姫と恋に落ちますが、ホームシックになって地上に戻ります。
そして乙姫からもらった玉手箱をあけると煙がもくもくと立ち上り、浦島太郎はおじいさんになってしまいます。

これが一般的によく知られている浦島太郎伝説です。
しかし、浦島太郎伝説のルーツと考えられる御伽草子の話は若干違うようです。

太郎が助けた亀が美しい女性に変身して小舟に乗って現れ、竜宮城につれていきます。
太郎は3年竜宮城で過ごしましたがホームシックになり家に戻ります。
しかし家はなく、太郎が竜宮城にいってから700年もたっていました。
そして女性からもらった箱をあけると紫色の煙が3本たち、太郎は鶴になってしまいます。
「カメは私が年をとらないよう箱の中に私の年を入れてくれていたんだ。
そして万が一箱をあけてしまった場合、年をとって死んでしまわないように千年生きる鶴の姿に変身できるようにしてくれていたんだ。」
浦島太郎は丹後の国に祀られ浦島明神として祀られました。
また竜宮城の亀もあらわれ、夫婦神として祀られました。

ソースはここ → http://ほのぼのスタイル.com/2016/12/20/urasimatarou/

おふさ観音 薔薇3

④海幸彦・山幸彦

浦島太郎伝説はさらに奈良時代に編纂された記紀(古事記・日本書紀)にある海幸彦・山幸彦の話までそのルーツをさかのぼることができるでしょう。

山幸彦が海幸彦の釣り針をなくしてしまい困っていたところ、塩椎神のアドバイスを得て小舟にのって綿津見神宮(わたつみのかみのみや)にいきます。
海神は山幸彦を温かく迎え、山幸彦は海神の娘・豊玉姫と結婚します。
3年たって山幸彦は、豊玉姫に失くした釣針と、潮盈珠(しおみつたま)と潮乾珠(しおふるたま)を貰って地上に戻ります。
そして潮盈珠をつかって海幸彦をおぼれさせ、海幸彦が許しをこうと潮乾珠で潮をひかせました。

おふさ観音 薔薇4 

⑤亀は地上と水中をつなぐ

どうも亀は地上と水中の世界をつなぐ乗り物であると考えられていたようですね。
それは水中を泳ぐこともできるし、陸上を歩くこともできるという亀の特性によるものだと思います。
本当に昔の人の自然観察眼はすごいですね。

J-popsでは歌詞の中で深い意味なく花の名前を使ったりします。
意味がある場合でも、鳥=羽ばたく、桜=はかない(すぐ散ってしまうので)など安直(すいません!)なものが多いです。
桑田佳祐さんがマチルダという薔薇を女性器に喩えたり、aikoさんが甘い香りに誘われるカブトムシ(果物などを好みます)を恋する女性に喩えたりみたいなのはありますが
亀を地上と水中をつなぐ乗り物ととらえるほどの繊細な感覚はありません。(すいません)

私の考えでは、古代人は次のようにもとらえていたのではないかと思います。

●鹿→謀反人→謀反の罪で殺された人は塩を振られることがありました。鹿の夏毛の斑点を塩に喩えたのでしょう。

大仏殿 鹿 
●ジンベエザメ(えびすザメ)→ジンベエザメがやってくると鰯やカツオもいっしょにやってきて大漁になることからえびすザメと呼ばれたのではないでしょうか。
海遊館  『じんべえさまと鹿の共通点は?』 

海遊館 ジンベエザメ2

●土蜘蛛→斬首された人→昆虫は頭部・胸部・腹部の3つのパーツで構成されますが、蜘蛛は頭胸部・腹部の2つのパーツで構成されます。昔の人は蜘蛛を頭部のない昆虫だと考えたのではないでしょうか。
梨木神社 萩 『浮穴媛のこどもたち』 

蜘蛛の体 

●獏(マレーバク)→体が黒と白の2色なのが、陰陽に喩えられたのでは。それで悪い夢(陰)を食べてよい夢(陽)に転じるなどと考えられたのではないでしょうか?
山中渓駅 桜 パンダ列車 『パンダはなぜ獏と同一視されたのか?』 



動画お借りしました。動画主さん、ありがとうございます!

おふさ観音 絵馬 



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[2018/05/26 01:01] 奈良県 | トラックバック(-) | コメント(-)