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一心寺 ジャカランダ 『後白河法皇は夕日の中に何を見たのか』 

大阪市天王寺区 一心寺
2017年6月13日 撮影

一心寺 ジャカランダ 
一心寺

①源空庵は日想観を修する草庵だった?


1185年春、浄土宗の開祖・法然は四天王寺西門の坂に源空庵という草庵を結びました。
法然がここに草庵を結んだのは、四天王寺別当・慈円の要請を受けたためで、これが一心寺の始まりだといいます。
その後、後白河法皇’(1127~1192)がここを訪れて法然とともに日想観を修したといいます。

 一心寺 仁王門

一心寺

日想観とは、 西に沈む太陽を見て、その丸い形を心に留める修行法だということです。
極楽浄土は西方にあると考えられており、日想観はその極楽浄土を拝むという意味合いがあったのでしょう。

歌人の藤原家隆も1236年に病を患って出家し、このあたりに夕日庵を結んで日想観を行ったと伝えられます。
現在、夕日庵の跡地には家隆塚があります。

家隆塚  
家隆塚

ここから考えて、法然が結んだ源空庵は、日想観を修するための草庵であったと考えられます。

②かつて上町台地から海に沈む夕日が見えていた。

このあたりは上町台地と呼ばれる高台で、逢坂・愛染坂・口縄坂など多くの坂があります。

口縄坂 夜景

口縄坂

今これらの坂の上にたって西の方角を望むと、林立するビル群が見えるばかりで、海は全く見えません。
ですが、かつては林立するビル群のあたりは海であり、海に沈みゆく夕日が見えたというのですね。

赤い夕陽
 

上の写真は淡路島慶野松原の夕景ですが、かつて一心寺付近の坂の上に立つとこんな感じの風景が見えていたのではないかなあと想像します。

それが長い年月を経る間に大和川や淀川などの川が運ぶ土砂が堆積し、海が陸に変わってしまったそうです。

一心寺 ジャカランダ2 

一心寺


③西方極楽浄土へ旅立った安徳天皇と平家


さて、なぜ法然は日想観を修するためと考えられる源心庵をここに作ったのでしょうか。

源心庵を設けた1185年、壇ノ浦の戦いで平家は源氏に敗れ、滅亡しています。
もはやこれまでと悟った平家の人々は次々に海に飛び込んで自殺してしまったのです。

平家物語には次のように記されています。

安徳天皇「どこへ行くの?」
平時子「弥陀の浄土へまいりましょう。波の下にも都があるのですよ。」

こうして安徳天皇(父・高倉天皇、母・平徳子)は祖母の平時子に抱かれて入水しました。


安徳天皇と平家は西方極楽浄土へ向かったのです。




上の地図を見てください。
源空庵(現在の一心寺)があったのは【大阪】の文字があるあたりです。
壇ノ浦古戦場跡は源空庵から見て、少し南にずれますが、ほぼ西の方角にあたります。

つまり、源空庵は壇ノ浦の戦いで入水した平家の霊を日想観を修することによって慰霊するために作られたのではないかと思うわけです。

源空庵で後白河法皇と法然は、壇ノ浦の波の下にある都=弥陀の浄土に沈んだ平家の霊と、安徳天皇の霊を慰霊するために
日想観を行ったのではないかと。

壇ノ浦の戦いで平家が滅んだあと、後白河法皇は源氏の指揮官だった源義経を院御厩司に任じています。
平家滅亡には後白河法皇もからんでいたわけです。

耳無し芳一の説話は、平家の怨霊が信仰されていたことを物語るものでしょう。
後白河は相当平家の霊を怖れたことでしょうね。

一心寺 骨仏 
一心寺 開眼されたばかりの第14期骨仏(平成19年から28年までに納骨された骨で作られた仏さまです。)


④半日で完成した鴨長明の庵

源空庵が作られたのは1185年春とウィキペディアは記しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E5%BF%83%E5%AF%BA#.E6.B2.BF.E9.9D.A9
「1185年春」の出典は記されておらず、また春が旧暦なのか新暦なのかわかりません。

壇ノ浦の戦いがあったのは、1185年4月25日ということです。
4月25日は新暦では春ですね。

旧暦では3月24日となります。

旧暦では1月・2月・3月が春、4月・5月・6月が夏、7月・8月・9月が秋、10月・11月・12月が冬でした。
旧暦3月24日はぎりぎりで春、あと1週間足らずで夏になります。

壇ノ浦の戦いからわずか1週間しかないやん!
その間に庵を結ぶなんて無理、無理!

と思うかもしれませんが、これがそうでもないんですよ~。

方丈記で有名な鴨長明(1155~1216)が住んでいた庵は組み立て式で車二輌で運搬可能だったそうです。
この庵は2~3人の大工さんがいれば半日で組み立て可能だったとか。

河合神社 復元された鴨長明の方丈

河合神社にある復元された鴨長明の方丈


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[2017/06/14 20:05] 大阪府 | トラックバック(-) | コメント(-)