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笠の蕎麦の花 と 笠山荒神 『かまどの神』  

奈良県桜井市 笠山荒神
2009年9月22日撮影


笠 蕎麦畑 

一面に広がる蕎麦畑。
その傍らに笠山荒神があります。

笠山荒神 屋根 
笠山荒神の拝殿の瓦は能・翁の面でした。
荒神さんと翁って何か関係があるんでしょうか?

●竃の神

笠山荒神の御祭神は土祖神(はにおやのかみ)・ 興津彦命(おきつひこのみこと)・興津姫命(おきつひめのみこと)の三柱で、竈の神・防火の神として信仰されています。

興津彦命は奥津日子命、興津姫命は奥津比売命とも表記されます。

漢和辞典をひいてみると次のように書いてありました。

【奥】もとかまどのある所をいい、のちには家の奥深い西南のすみをいい、ひいて広くおくまったところをいう。
(角川漢和中辞典/昭和51年1月20日161版発行)


それで竈の神の名前を奥津日子命(興津彦命)、奥津比売命(興津姫命)というのですね~。

炭火の火種のことを『おき火』というそうですが、『おき火』の『おき』ももともとは『奥』だったのかもしれませんね。

笠山荒神 
笠山荒神参道を歩いていただいたのは、安井金毘羅遇・櫛祭に登場された方です。(合成)

●おきつひめは火山の女神?

『おきつひめ』って最近どこかで聞いたなあ~?

そうそう、石川県輪島に奥津比咩(おくつひめ)神社があり、奥津姫神を祀っていたのでした。
そのときの記事はこちらです。↓
奥津比咩神社 夏祭 『キリコ祭は七夕行事だった?』 

奥津比咩神社-輪島大祭 入水神事

石川県輪島市海士町・奥津比咩神社の入水神事。

輪島から50km沖にある舳倉島にも奥津比咩神社があります。
海士町の人々はかつて夏に舳倉島に移り住んでアワビやエビをとり、秋ごろ海士町に戻るという生活をされていました。そのため舳倉島の奥津比咩神社を勧請して海士町に祀ったのでしょう。


舳倉島の奥津姫神は『沖の女神』という意味だと思っていましたが、竈の神・奥津比売命と同一の神様なのかも。

そう思って調べてみたところ、舳倉島は火山島であることがわかりました。
火山島は火を噴くので、竈の神、奥津姫神を祀っているのではないでしょうか。




●舳倉島はへっつい(竃)の島?

舳倉島(へぐらじま)の舳(へ)は『へっつい』のことではないかと思ったりします。
というのは、興津姫命(奥津比売命)は別名を大戸比売神(おおへひめのかみ)ともいうのです。

関西ではかまどのことを『へっつい』といいますが、大戸比売神の戸(へ)は『へっつい(かまど)』のことだとされています。
火を噴く火山島なので、へっつい(竃)の島という意味ではないでしょうか。

山口家住宅(大阪府堺市) へっついさん 
山口家住宅(大阪府堺市) へっついさん

「へぐらじま」の「くら」はわかりませんが、蔵王権現と関係があるかも?
蔵王権現とは奈良県吉野山にある蔵王堂の御本尊です。
蔵王権現の蔵は「くら」とよみますね。
また、桜は蔵王権現の御神木とされ、吉野山にはたくさんの桜が献木されています。
この桜の語源は、「くら」に接頭語の「さ」(さおとめ、さみだれなど)がついたものだと説明されることがあります。
「くら」とは蔵王権現のことであり、「さくら」とは蔵王権現をあらわす「くら」に接頭語「さ」をつけたものなのかも?
 
吉野 金峯山寺 蔵王堂 桜 
吉野山。遠くに蔵王堂が見えています。

●荒神

舳倉島の奥津姫神は海に時化をおこして多くの猟師の命を奪う荒魂であったようです。
(男神=荒魂、女神=和魂、とする説があり、私はこれを支持していますが、必ずしもそうでないケースがあったのかも~)

荒神という名前の由来は不明ですが、「荒魂」からくるという説もあり、舳倉島の奥津姫神に通じるところがありそうです。 

笠 蕎麦畑2


毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!

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[2016/09/30 19:00] 奈良県 | トラックバック(-) | コメント(-)