香川県綾歌郡 滝宮天満宮
撮影 2015年3月上旬
①菅原道真は怨霊だった。
滝宮天満宮の御祭神はもちろん菅原道真です。
藤原時平の讒言によって大宰府に流罪となり、数年後に大宰府で死亡。
その後、都では疫病が流行して醍醐天皇の皇太子が次々に亡くなったり、清涼殿に落雷があって道真左遷に関わった人が大勢亡くなるなどしました。
その結果、道真は怨霊であると畏れられ、道真の怨霊を鎮めるために各地に道真を祀る天満宮が作られました。
天満宮というのは菅原道真を神として祀る神社です。学問の神として今でも厚く信仰されていますね。
さきほど、「道真は怨霊として畏れられた」と書きました。
怨霊がなぜ神として祀られているのかについて、簡単に説明しておきましょう。
かつて、怨霊と神は同義語であったといいます。
怨霊とは政治的陰謀によって不幸な死を迎えた人のことで、このような人々は死後怨霊となって天災や疫病の流行をひきおこすと考えられていました。
そこで、怨霊が祟らないように神として祀るということが行われました。
菅原道真のほか、藤原広嗣・井上内親王・早良親王なども怨霊として畏れられ神として祀られています。
②菅原道真は讃岐に左遷されていた?ここ滝宮天満宮は、かつて讃岐国国司の官舎があった場所とされています。
菅原道真は886年、41歳のとき、讃岐守となりこの地で過ごしています。
そういった関係で、道真の死後、この地に滝宮天満宮が作られたのでしょう。
讃岐はかつては流刑地で、保元の乱で敗れた崇徳天皇が流された土地でもありました。
讃岐守という役職はいわゆる左遷だったのではないかと思ったりします。
その後、宇多天皇が藤原基経を関白に命じた際、藤原基経はその詔勅の文章に難癖をつけてごね、政務を放棄するという実にくだらない事件がおきています。(阿衡事件)
参照/
https://kotobank.jp/word/%E9%98%BF%E8%A1%A1%E4%BA%8B%E4%BB%B6-24919そのごねた藤原基経をなだめて事件を解決したのが菅原道真でした。
阿衡事件解決後、道真は讃岐より帰郷しています。
この事件の解決によって菅原道真は宇多天皇より厚い信頼を得ることができ、結果、左遷がとかれて京に呼び戻されたということではないかと思ったりします。
①でお話ししたように、最後は大宰府に左遷されたまま道真は生涯を終えてしまうわけですが。
③滝宮の念仏踊境内にはこんな ↓ 額が飾ってありました。
滝宮の念仏踊をえがいたものです。
滝宮の念仏踊りは、8月25日に滝宮神社と滝宮天満宮で行われています。
見たことはないのですが~。
動画、お借りしました。動画主さん、ありがとうございます。
道真が讃岐守であったとき雨不足で大飢饉となり、道真が断食をして7日7夜神に祈ったところ雨が降り人々が喜び躍ったのが起源とされます。
その後、この土地にやってきた法然が振付をして念仏を唱えながら踊るようになったといいます。
④菅原道真は雨乞いをしていない?
でも私は菅原道真は実際には雨乞いの祈祷をしていないと思います。
そうではなく、滝宮の念仏踊そのものが雨乞いの踊りなのだと思います。
京都隋心院で、雨乞いの踊を見たことがありますが、滝宮念仏踊はこれによく似ていました。
滝宮念仏踊は各地に伝わる念仏踊のルーツとされているので、雨乞いの踊りが滝宮念仏踊りに似ている、といったほうがいいかもしれませんが。
髄心院 出雲風流花踊
⑤菅原道真は雨を降らせる神だった。滝宮の念仏踊の起源説話に菅原道真が登場するのは、菅原道真が雨を降らせる神であるとして信仰されたためではないかと思ったりします。
北野天満宮絵巻などには、菅原道真は雷神として描かれています。
①で清涼殿に落雷があったと書きましたが、清涼殿の落雷は菅原道真の怨霊が雷神となってひきおこしたものだと考えられたのでしょう。
雷は雨を伴います。
滝宮の人々が雷神・菅原道真に「どうぞ雨を降らせてください」と雨乞いの踊りをしたのが始まりではないでしょうか。
すると、滝宮念仏踊が始まった時期も、道真の死後だということになると思います。
⑥古の日本人は神の世界と現実の世界を描き分けなかった?ですが、滝宮念仏踊の起源説話は嘘っぱちだ、なんていうつもりはありません。
古の日本人は神の世界と現実の世界を明確に描き分けないという習性があったのではないでしょうか。
また、想像の世界と現実の世界を描き分けないという習性もあったと思います。
今でも同じようなことはあります。
例えば、故人Aとの思い出の土地を散策している人が、故人Aと散策しているようなつもりになって
「私はAと街を散策した」などと言うことがあります。
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