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半田赤レンガ建物 ライトアップ 『カブトビールと中島飛行機と空襲警報』 

愛知県半田市 赤レンガ建物

半田赤レンガ建物 

前回
の矢勝川堤から2.5kmほどの場所に半田赤レンガ建物があります。

半田赤レンガ建物 内部 通路

●ジブリのアニメにも登場したカブトビール

半田赤レンガ建物は1898年(明治31年)にカブトビール半田工場として建てられました。
ジブリのアニメ「風立ちぬ」では、名古屋駅周辺が舞台のひとつとなっており、「カブトビール」の看板が描かれているそうです。

「風立ちぬ」、映画館まで見に行ったんですが、「カブトビール」の看板はちょっと覚えてないので、もう一度映画見たいです。

半田赤レンガ建物 内部2


昔の名古屋駅に設置された「カブトビール」の看板の写真はこちらにありました。
→ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%96%E3%83%88%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB#/media/File:Nagoya_Station_in_Taisho_and_Pre-war_Showa_eras.JPG

こちらは大正時代の加富登麦酒株式会社半田工場(現在の半田赤レンガ建物)です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%96%E3%83%88%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB#/media/File:Kabuto-beer_Handa_brewery.jpg

設計はドイツのゲルマニア機械製作所構造設計は妻木 頼黄(つまき よりなか)です。
横浜赤レンガ倉庫もこの方が構造設計されていますね。

横浜赤レンガ倉庫 
横浜赤レンガ倉庫


●半田赤レンガ建物は省エネ設計だった!

半田赤レンガ倉庫はビール工場として作られたので、低温を保つ工夫がいろいろとなされているようです。

①屋上スラブ(下が空間になっている構造の床のこと)が2重~3重のアーチ耐火床
②①以外の屋上スラブには断熱用大鋸屑(おがくず)が厚く設置されている。
③レンガ壁体(へきたい。壁面を含む壁の全層のこと)に断熱材として厚さ40mmのコルクが張り付けてある。
④西面が半地下。(西面が半地下だとなぜ涼しいんでしょうね?)
⑥壁、床スラブが厚い。

外気温が34度のとき、1階貯蔵庫の室温を図ると21度だとか。これはすごい!

半田赤レンガ建物 窓 
壁がびっくりするくらい厚いです。

半田赤レンガ建物2 

これは建物を切り離したあとのようです。

半田赤レンガ建物 説明版より 平面図 

↑ 説明版に描かれていた平面図。

半田赤レンガ建物 柱頭 

↑ 柱頭。


半田赤レンガ建物 説明版より柱頭の写真

↑ 説明版より 建物を切り離す以前、柱頭はこんな感じで使われていたようです。
鉄製なので頑丈だったことでしょう。


半田赤レンガ建物 ボルト 

●中島飛行機製作所の衣糧倉庫に。

第二次世界大戦中の1944年(昭和19年)、赤レンガ建物は中島飛行機製作所の衣糧(衣服と食糧)倉庫となりました。
建物が省エネ設計であることが、衣糧倉庫として用いるのに都合がよかったのではないかと想像します。

半田赤レンガ建物 内部 

●東南海地震・三河地震、そして半田空襲

1944年(昭和19年)12月7日、昭和東南海地震(半田市は震度6以上、死者188名)が起こりました。
中島飛行機半田製作所は山方工場・葭野工場が倒壊するなどの被害を受けたそうです。

1945年(昭和20年)1月13日には三河地震(死者12名)が起こりました。

このタイミングを見計らうように、1945年7月15日と7月24日、米軍によって半田空襲が行われました。
中島飛行機製作所本工場へ81発、山方工場へ35発の爆弾を投下されたそうです。
軍用機を生産していたので、狙われたんでしょうね。
この半田空襲によって264名以上の方が亡くなられたということです。

半田赤レンガ建物北側

半田赤レンガ建物の北側です。目を凝らしてよーく見ると・・・

半田赤レンガ建物 機銃掃射痕 
壁に無数の機銃掃射痕が残っています。
頑丈な造りだったので空襲に耐えたのでしょうか?それとも衣糧倉庫なので執拗に攻撃されなかったのでしょうか?

●弾道ミサイル空襲警報


戦争はあってほしくないですが、最近北朝鮮がミサイルを討ち、日本の排他的経済水域に落下したようですね。
これに対して政府が弾道ミサイル空襲警報を出さなかったとして、武田邦彦さんは激しく批判されています。
弾道ミサイル空襲警報なんて初めて聞きました。なんでメディアはこういうことを報道しないんでしょうか?



考えたくないですが、もしも戦争になった場合、空襲で狙われるのは原発ではないでしょうか。



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[2016/09/28 21:35] 愛知県 | トラックバック(-) | コメント(-)

矢勝川堤 彼岸花の散歩道 『ゴンは神使だった?』 

愛知県半田市 矢勝川堤
2016年9月24日 撮影


歩いても、歩いても彼岸花が続く矢勝川堤の散歩道。

矢勝川 彼岸花2  
地元の方にお話しを伺ったら、「今年はあんまり咲いてない」ということでした。
あるいはまだ蕾がいっぱいあったので、今頃満開になっているかも。

パンフレットの写真などを見ると、彼岸花がぎっしり咲いて真っ赤なカーペットのようです。
そういうときに再び訪れることができるといいなあ~。

矢勝川 彼岸花と稲


●ゴン狐

愛知県半田市は童話作家・新見南吉さん生誕の地です。
矢勝川堤防は南吉さんがよく散歩された道で、川の向こうには権現山(愛知県知多郡阿久比町)が見えます。

南吉さんの作品に登場する「ごん狐」はこの権現山から名前をとったという説もあります。

キツネのゴンがいたずらをしにきたと思い、兵十はゴンを銃で撃ってしまいます。
そして兵十は土間に栗が置いてあるのを見つけ、毎日兵十に栗を届けてくれていたのがゴンだったことを知ります。

やるせない物語ですね~。

「ごん狐」は青空文庫で読むことができますよ。 
http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/628_14895.html

矢勝川より権現山を望む 
向かって左の山が権現山

 ●改変された「ごん狐」

ところが、どうも青空文庫の「ごん狐」は新見南吉さんのオリジナルではないようで、あちこち改変されているようです。
http://www2a.biglobe.ne.jp/~kimura/papers/gon.htm
↑ 上記サイトに詳しく説明されています。

オリジナルの文章を読んでみたいです。

矢勝川 彼岸花


●猟師に伝わる権現山に住む狐の物語?

南吉さんのオリジナルではタイトルは「権狐」となっており、引退した猟師の茂助爺に聞いた話としています。
ここから考えて、権狐は「権現山に住む狐」であり、猟師のあいだに伝わる伝説だったのではないかと想像します。

矢勝川 彼岸花-ライトアップ2 
日没後、彼岸花がライトアップされました。

●本地垂迹説

権現山の権現とは、本地垂迹説に基づく言葉です。
本地垂迹説とは「日本古来の神々は仏教の神々が衆上を救うために仮にこの世に姿を現したものである」とする考え方のことです。
そして仮にこの世に姿を現した日本の神々のことを「権現」、神のもともとの正体である仏教の神々のことを「本地仏」といいます。

菅原道真を祀る北野天満宮の西に東向天満宮があり、「天満宮御本地仏 十一面観世音菩薩」と記された石碑がありますが
これは、天満宮(菅原道真のこと)の本地仏である十一面観音をお祀りしていますというような意味です。
逆に言えば、菅原道真は十一面観音の権現だということです。

で、今回は参拝することができなかったのですが、権現山には五郷社、明神社というふたつの神社があるようです。
明神社の御祭神は調べたけれどわかりませんでした。
五郷社の御祭神はスサノオです。

スサノオはインドの神・牛頭天皇と習合され、その本地仏は薬師如来とされることが多いです。
逆にいえば、スサノオは薬師如来の権現とされることが多いということになります。

明治の神仏分離令まで、さきほどご説明した本地垂迹説にもとづき神仏は習合して信仰されていました。
五郷社は薬師如来を祀る寺院と関係の深い神社だったのかも、と思って近所のお寺を調べてみましたが、御本尊まではわかりませんでした~。

 矢勝川 彼岸花-ライトアップ

●神使

また神使(しんし)というものがあります。
読んで字のごとく「神の使い」という意味で、伊勢神宮の神使は鶏、大神神社の神使は蛇などとされています。
狐は稲荷神の神使とされることが多いですが、ガイドブックをみても矢勝川周辺に稲荷神社は見当たりません。

物語に登場する狐の名前が権というところから考えると、権は権現山の神の神使じゃないかと思うんですが。

 矢勝川 石仏と彼岸花

●狐は権現山の神の使いだった?

美味しいのは猪や鹿など草食動物の肉で、狐や狸など雑食動物の肉はまずいそうです。
ただ、毛皮をとることができます。
そういうことで、このあたりの猟師さんは狐をとらえていたのかも?

南吉が猟師から聞いた話だということは、狐の権は猟師たちが信仰していたの神の使いなのかもしれませんね。
そして山でとれる栗などの恵みは権現山の神使である狐がもたらしてくれるものであると考えられていたのではないかなあ、と思いました。



毎度、とんでも説におつきあいくださり、ありがとうございました!

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[2016/09/27 17:46] 愛知県 | トラックバック(-) | コメント(-)